渡辺徹さんインタビュー(心臓病・糖尿病との闘い)(1)

2012年11月05日 10:00 公開

渡辺徹さんインタビュー(心臓病・糖尿病との闘い)(1)

第1回:予兆編…“根性の問題”ではなかった

 2012年5月、心臓のカテーテル手術を受けていたことを公表した俳優の渡辺徹さん。持病の糖尿病と体調不良、初めての舞台降板、緊急入院...。芸能生活30年を超えたベテランの葛藤と決意、そして今伝えたいことを伺いました。

――虚血性心疾患だったということですが予兆は?

 実は手術の1年以上前から、「疲れるなあ」とか「だるいなあ」とかいう症状が続いていて、体調が気にはなっていました。デビューして31年間、休まず突っ走ってきたし、年齢的にもそういう時期―疲れも出てきて踏ん張りも利かなくなってくる時期なのかなと。今年に入って急激に根性がなくなるというかやる気が失せるというか...。何でこんなに踏ん張りが利かないんだと、気持ちの問題だと思っていました。

 後になって医師から「心臓病患者の典型的な特徴」と言われたんですよ。先生によると、夫婦で受診する心臓病の患者さんの場合、大体の奥さんが「この人、最近やる気なくなって...」「根性なくて」「情けない、だらしない」と訴えるんだとか。振り返れば、まさしくそれに当てはまっていたんです。

――体調の変化はどうでしたか?

 自宅の2階に行くのにもエレベーターを使うようになって、妻(女優の榊原郁恵さん)に「何やってるの、それくらい階段で上がりなさいよ」と言われるようなやり取りがしばらく続いていたんです。

 そのうち歩くのもおぼつかなくなって、別に手を抜くのではなく、ロケの撮影中にちょっとした石段を上るのでも休憩を入れてもらわないとならなくなりました。

 舞台が終わってからみんなで飲みに行くときも、「行くぞ!」と先頭切って歩くタイプだったのが、集団で一緒に歩き出したのに最後尾になってしまう。もともとアクションスターですから(笑)、これくらいで疲れるのはおかしい、筋力でも衰えたかなと、非常に不思議でした。

 さらに息切れもするし、どんどんひどくなって、しまいには階段も上がれなくなって...。芝居の稽古で廃校の教室を使ったとき、学校はエレベーターがないですからもちろん階段で上がるんですが、1階から3階の稽古場に行くのに15分くらいかかっちゃったんですよ。階段の途中で休み、踊り場でも相当休んで...。でも、みんなに心配かけちゃいけないから息を整えてから「おはようございます!」と、稽古場には元気に入りました。

――それはさすがにおかしいですね。

 おかしいですよね。今年に入ってからは、テレビの現場などで元気に振る舞っているつもりでも「顔色良くないですね」とか「お疲れですか?」と言われることが多くなってきたんです。

 それで3月頃、妻と話し合いました。私たちの仕事は見る人に元気や喜びを伝えるものなのに、人に「大丈夫か?」と言われるほど心配をかけてしまっては、仕事として成り立っていない。放送の時間を埋めることができても、本来の意味での仕事としての目的が果たされないと。「一度休んだ方がいい」と妻に強く言われて、仕事を休むことに決めました。

 断腸の思いでしたね。番組を休んだり、舞台を降りたりしたことなんてなかったし、休もうと考えたことすらもなかったんですから。話し合いの後、それでも迷っていると、妻が自宅に舞台の関係者や事務所の人間を呼んで、「渡辺に決めさせると結論を出さないから、家族として言わせてもらいます。休ませてください」と頼んでくれました。その判断が正しかったんです。

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