2012年11月20日 11:47 公開

歯磨きに"おまけ効果"、食道や口腔がんなど予防

発がん物質作る菌減少か

 日頃、虫歯や歯周病予防のために行っている歯磨きによって食道がんや口腔(こうくう)がんなどの発症率が下がるという。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の松尾恵太郎室長らが約4,000人に行った調査結果だ。歯磨きによって口の中が洗浄され、発がん物質を作る細菌が減るとみている。日本人を対象にしたこうした調査は初めて。

磨かないと高発症率

 健康な人2,883人と食道および頭頸(とうけい)部がん患者961人(食道434人、頭頸部527人)に歯磨きの習慣を聞いた。頭頸部がんは口腔、咽頭、喉頭の各がんの総称で、口腔は舌を含めた口の中の粘膜、咽頭はのど、喉頭は気管の入り口辺りを指す。

 1日に「1回磨く」は、健康な人1,049人、がん患者465人、「2回以上磨く」は、同1,736人、同437人、「磨かない」は、同43人、同34人。ほかは「不明」だった。

 歯磨きの回数とがん発症率の関係を見たところ、食道がんは「1回磨く」人に比べて「2回以上磨く」では22%低く、「磨かない」では逆に81%高かった。同様に頭頸部がんでも26%低く、79%高かった。

朝、昼、晩の1日3回励行を

 食道がんや頭頸部がんの原因としては、喫煙、飲酒、熱い食べ物の摂取のほか、食道がんでは肥満、咽頭がんでは最近はヒトパピローマウイルス(HPV)の関与も指摘されている。

 では、歯を磨く人でなぜ発症率が低いのか。松尾室長によると、歯磨きによって

  1. 口の中にある体に悪いといわれる物質が洗い流される
  2. 飲酒に伴いアルコールが酸化されてできる発がん物質アセトアルデヒドを作る細菌の量が減る

―などが考えられるという。

 松尾室長は「歯磨きは歯をきれいにする普通の磨き方で結構です。そうすれば、おまけとして今回のような結果が付いてくると考えてください。朝、昼、晩、コンスタントに磨くのがよいでしょう」と話している。

(編集部)

2010年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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