2012年11月27日 10:01 公開

デンマークが世界初の「脂肪税」廃止、その理由とは?

バターも課税対象だった
バターも課税対象だった

 デンマーク政府は先日、世界で初めて導入した高脂肪食品への課税制度、いわゆる「脂肪税」を廃止すると発表した。消費者や食品業界の強い反対でいったんは見送られたが、肥満者が多い国民の健康増進を図るとして根強く説得、昨年10月に導入したばかりだった。導入からおよそ1年という、国民の健康に与える影響を検討するには早い撤廃の背景には何があったのか...。

雇用悪化、隣国で食品購入...

 脂肪税は、2.3%以上の飽和脂肪酸を含むバターや乳製品、肉類などの食品を対象に、飽和脂肪酸1キロ当たり16クローネ(約230円)を課税。例えば、250グラム入りのバターでは2.1クローネ(約30円)の値上げとなった。

 この制度は2009年に政府が提案、2010年に議会を通過したが、上記のように価格上昇につながることから低所得者層や食品会社から強い反対が起こった。また、脂肪税導入で年間約2億ユーロ(約210億円)の増収との政府試算がある一方、消費者の負担増、消費減に伴う売り上げ減少、食品会社の雇用減少、本来必要な量を購入できないためにかえって健康悪化を招く懸念もあると指摘されていたという。

 英放送局BBCや英医学誌「BMJ」などによると、脂肪税導入以降、食品会社の管理費用が増大するのに伴い、雇用状況が悪化。さらには、消費者がより安い食品を隣国のドイツやスウェーデンで購入するようになったという。

 今回の脂肪税撤廃に伴い、来年初頭から導入予定だった加糖食品への課税(砂糖税)も凍結されることになった。報道によると、すでにチョコレートや清涼飲料水などへの課税は行われていたが、新税制ではヨーグルト、ジャム、ケチャップなども対象になる予定だったという。

 こうした政府の判断に対し、BMJニュース(2012; 345: e7889)ではデンマーク国立研究所健康委員会委員長の見解を紹介。脂肪や糖質摂取の減少による健康上のエビデンス(根拠となる研究結果)は十分にあり、今回の税撤廃は性急との考えが示されている。

 健康増進の効果はすぐには実感しにくく、世界的な不況で「増税」に対するも厳しい。今回は、健康上で期待できる効果が経済上のリスクに代え難いと判断されたようだ。

(編集部)

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