2012年12月10日 10:51 公開

睡眠薬や抗不安薬で肺炎リスク上昇―英研究

 睡眠薬や抗不安薬として処方されているベンゾジアゼピン系薬は、世界的に多くの人が使用している一方、さまざまなリスクが指摘されている。今年9月にも認知症リスクが上昇するという研究結果が発表されたばかりだが(関連記事)、また新たなリスクが報告された。英ノッティンガム大学疫学・公衆衛生学部のEneanya Obiora氏らは、ベンゾジアゼピン系を服用することで肺炎リスクが上昇することを、12月5日発行の英医学誌「Thorax」(電子版)で発表した。なお、今回の検討ではジアゼパム(商品名セルシン、ホリゾンなど)、ロラゼパム(同ワイパックスなど)、クロルジアゼポキシド(同コントール、バランスなど)などが対象となっている。

肺炎リスクは1.54倍に

 英国および米国で1年以上、ベンゾジアゼピン系薬の服用を続けている患者は人口の約2%に達し、高齢者では10%弱に及ぶという報告もある。不安、てんかん、筋痙攣(けいれん)、不眠をはじめ、適応症も多岐にわたっている。

 Obiora氏らは、英国のプライマリケア医(かかりつけ医)を受診した患者のデータベースから、2001~02年に市中肺炎と診断された4,964人、年齢や性別などを一致させた対照群2万9,697人を対象に、ベンゾジアゼピン系薬の使用と肺炎(市中肺炎)の発症率との関連、同薬が市中肺炎群における死亡率に与える影響を解析した。

 その結果、肺炎の既往や喫煙などの影響を除外した肺炎リスクは、ベンゾジアゼピン薬群で対照群の1.54倍だった。薬剤ごとに見ると、ジアゼパムで1.49倍、ロラゼパムで1.65倍、クロルジアゼポキシドで1.19倍、テマゼパム(日本未発売)で1.43倍。ベンゾジアゼピン系には属さないものの、同系薬と同じくGABAA受容体に作用するゾピクロン(商品名アモバンなど)は1.98倍だった。

肺炎による死亡率も1.2~1.3倍

 次に、肺炎を発症した4,964人の死亡率をベンゾジアゼピン系薬群と対照群で比較したところ、発症から30日以内で死亡する割合はベンゾジアゼピン系薬群全体で1.22倍、ジアゼパムで1.24倍、ロラゼパムで1.61倍だった。これに対し、クロルジアゼポキシド、テマゼパム、非ベンゾジアゼピン系薬のゾピクロンでは両群で統計学的な差が認められなかった。

 長期間の死亡率は、ベンゾジアゼピン系薬全体で1.32倍、ジアゼパムで1.27倍、ロラゼパムで1.48倍、クロルジアゼポキシドで1.49倍、テマゼパムで1.20倍だったが、ゾピクロンではこちらも統計学的な差が認められなかった。

 これらのデータから、Obiora氏は「ベンゾジアゼピン系薬が肺炎の発症率上昇、肺炎による死亡率上昇と関連していることが示された。今後、ベンゾジアゼピン系薬の免疫系に対する安全性をより詳細に検討すべき」と指摘した。

(編集部)

関連リンク(外部サイト)