2012年12月12日 11:47 公開

口唇口蓋裂の治療、重症例でもきれいに

成長に合わせ段階的に手術

 口唇口蓋(こうがい)裂は、生まれつき唇、歯茎、上顎が裂けている先天性の病気だ。最近では診断・治療技術が進歩し、重い症状でも段階的に手術をすることできれいに治るようになった。

発音や呼吸に影響

 口唇口蓋裂の赤ちゃんは、わが国では500人に1人の割合で生まれている。全体の約25%が上唇から鼻の下に裂け目がある口唇裂で男児に多く、約25%が上顎に裂け目がある口蓋裂で女児に多い。残りの約50%は口唇裂と口蓋裂が両方あって、男児に多い。また、鼻の下のくぼみを境にして左側の方が右側より2~3倍多く発症する。

 通常、妊娠から出産までの胎生期の4~12週で上唇から上顎にかけて形ができていく。口唇口蓋裂の治療に詳しい昭和大学病院(東京都)形成外科の土佐泰祥准教授によると「口唇口蓋裂は細胞が分裂し、顔面突起と呼ばれる部位がつくられていく過程で、何らかの理由で不都合が生じて発症すると考えられています。ただ、詳しい原因は分かっていません」と話す。

 口唇口蓋裂は見た目だけでなく、発音、呼吸、かみ合わせなど、体の機能にも影響が出るほか、中耳炎を起こしやすくなるため、適切な治療が必要になる。

複数科で連携

 治療は、形成外科、小児科、矯正歯科、耳鼻咽喉科、言語聴覚士などの連携によって、子供の成長に合わせて進められる。生後3カ月頃に唇、1~1歳半頃に口蓋、5~6歳頃に歯茎の裂け目を修復していく。

 土佐准教授は口唇口蓋裂の手術を年間約300件行っており、個々の患者に合わせて術式を工夫している。体質によっては、縫った痕が赤くみみず腫れのようになる肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)などを起こすこともあるが、時間がたてば治まっていくことが多いという。

 「今は超音波検査機器の精度が向上し、特に口唇裂は胎児期にある程度診断が可能となってきています。それだけに、安易に告げると母親は大変なショックを受けます。早期に疾患や治療法についての説明を加えたカウンセリングをきちんと行うことが必須です」と土佐准教授は話している。

(編集部)

2011年3月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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