西城秀樹さんインタビュー(脳梗塞との闘い)(1)

2013年01月21日 15:45 公開

西城秀樹さんインタビュー(脳梗塞との闘い)(1)

第1回:「病」「再発」そして「リハビリ」

 「西城秀樹」という名前を知らない人は、おそらくこの日本にはいないのではないでしょうか。10代で鮮烈なデビューを飾り、一躍トップアイドルの仲間入りを果たして以降、"新御三家""ヤングマン""日本初のスタジアムコンサート""アジア進出のパイオニア"と、数々の伝説を作ってきた57歳。彼はまた、二度の脳梗塞と闘い、復帰を果たしたことでも知られています。西城さんの病は、脳梗塞の中でも脳内の細い血管がだんだんと詰まり、その後に機能しなくなった脳組織の一部が小さく空洞化する「ラクナ梗塞」と呼ばれるもの。徐々に進行し、患部が小さいために発症した時点では発見されにくいという病気です。一度目は03年、そして再発は、順調に活動の場を広げてきた11年12月のことでした。

――二度も同じ病気になるとは?

 万が一にも思っていませんでした。一度目は病気のことを知らなかったけれど、その後に自分で色々調べて勉強して、食べ物はどういうモノがいいとか、これ以上ないほど生活に気を付けていたので。二度目は「なんで?」「どうして?なぜ?」と...。

――予兆はあったのでしょうか?

 いえ、分からないです。これは分かりにくい。今は(発症の)3時間前なら薬で詰まっているのが治せるとも聞いたので、分かるなら分かりたいけれど...。頭が痛いなどということも全くなかったし、予兆はゼロに等しい。いきなり来ます。突然、血流が止まるんですから。

 今思えば、発症の1カ月前から、なぜ疲れが取れないんだろうと感じていました。いつものジムへ行って運動しても何しても、疲れが取れなくてすっきりしなくて。予兆といえばそれが予兆だったんでしょう。その頃には血流が悪くなっていたんでしょうね。

 でも、芸能界にいると忙しくて生活が不規則で、そりゃ疲れるよなと思っていたんです。おかしいな、風邪かな、あれ? おかしいと思った時には、平衡感覚取れなくなっていて。

 先生に「(二度目は気を付けていたのに)なぜなったんですか?」と聞いたら「うーん、難しいんだけれど、この病気は...やはり寒暖の差とかも関係があるんですよ」と言われました。気を付けているからこれでいいんだっていうものではないんだと思いましたね。

――病気が分かったとき、最初に思ったことは?

 「もう以前の僕じゃないんだなあ」って...それは一度目から思っていました。それに、二度目は初めて体に症状が出たので足が動かなくなって、とにかくショックでショックで。もう、心が折れていましたね。

 体に症状が出たから、入院が長いんですよ。リハビリセンターまで行って1カ月近く、毎日過ごしていくうちに後遺症の状況も分かってくるんです。「トイレに行けない」「風呂も入れない」「あーこれもダメだ」と続いていって...大変でした。

――最もつらかったのは?

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 やはり、歩けないことですね。今もちゃんときれいには歩けない。だからリハビリを頑張っています。「治る可能性があるから頑張りなさい」と言われているようなもので、甘えないで自分に厳しくなるしかないなと思ったんです。

 リハビリ自体のハードルは低いんです。だけど、その低いことができないわけですよ。だから大変なんです。肉体の病気じゃなくて脳の病気なので、脳の指令を出すことを考えながら自分でやっていかないといけない。歩くのもただ歩くのではなく、20~30センチ脚を上げて歩くんだと考えながら、オーバーに歩く練習もしています。

 リハビリセンターの先生に教わって、それを日々、自主練習するわけです。ところが、公園1周でバテるほど大変で、体も痛くなる。動かないところを他の部分で補ったりかばったりするから、少しの動きでも疲れたり痛くなったりするんでしょうね。筋肉のバランスを取るのが難しいと感じています。

――毎日続けるのもかなりの意志が必要ですね。

 例えば、朝9時には公園へ行って歩く練習を絶対やろうと決めているんです。9時っていうのも自分が一番つらい時間帯だから。朝は筋肉が硬くなっていて動きにくいので、最も不得意な時間にやることが逆に効果的だということがやっているうちに分かってきました。公園での歩く練習の後は、言葉の練習のために本の音読を1時間と、体内時計のようにやることを決めてやっています。

 後は、硬くなっているところを柔らかくして血流を良くするためのリハビリ用ストレッチ。今はあぐらをかくのも大変なんですが、それをゆっくり20分間かけて柔らかくしていく。食事ももちろん気を付けて、どうやったら体が調子良くなるかってことを日々考えています。

 それを毎日、継続してやらないといけない。先生には長い時間やればいいってもんじゃないと言われました。「疲れたまま長くやっても無意味ですから」と。だから、人間としてものすごく勉強させられましたよ。「ああ、ただやればいいってもんじゃないんだ」って、疲れたら少し休んで、そしてまたやろうって思うようになりました。

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