2013年01月28日 10:18 公開

"潮吹き"への誤解が女性器を損傷、日本人の性の実像に迫る

7,000人対象のインターネット調査―日本家族計画協会

 日本では性について語ることはしばしばタブー視され、アカデミックな立場から日本人の性の実態を細部にわたり検討した大規模調査はなかった。そこで日本家族計画協会家族計画研究センターは、コンドームメーカーのジェクスと共同で、日本人の「性」の最新の実態を明らかにすべく2012年11月30日~12月5日にインターネット調査を実施。同センターの北村邦夫所長は1月24日、東京都で開催された会見で、マスターベーション(自慰)、オーガズム(性的絶頂)、性交痛、性行動の4点を中心に集計データを提示した。インターネット調査の限界はあるものの、"潮吹き"の実像も明らかにされ、同氏は婦人科医として、男性の潮吹きに対する誤解が女性の性器を損傷していることに注意を呼び掛けた。(関連記事

20~69歳の男女を調査

 性の実態に迫る同様の調査としては、英コンドームメーカーDurexが実施してきた「Sexual Wellbeing Global Survey」が有名で、日本を含む世界各国の年間性交回数データなどが注目を浴びていた。しかし、2006年の調査を最後に報告されておらず、日本人の性の実像は再び"闇の中"へ入ってしまった。

 今回の調査は、リサーチ会社の協力を得てインターネットで実施された。ややもすると生殖可能年齢(15~49歳)に限定されがちな調査対象を20~69歳にまで広げ、シニア層の性の実態も明らかにしたことが特徴の一つだ。

 調査に際しては、インターネット調査機関のモニター18万2,919人に電子メールでアンケートを配信。回答数は7,137人、有効回答数は6,961人で、有効回答の内訳は男性4,254人(61.1%)、女性2,707人(38.9%)だった。世代別の有効回答数は男性/女性で、20歳代が298人/323人、30歳代が566人/720人、40歳代が1,329人/923人、50歳代が1,321人/457人、60歳代が740人/294人。

「潮吹き=オーガズム」は誤った理解?

 自慰は男性96.7%、女性62.4%が経験しており、男女ともに既婚者よりも未婚者で経験率が高かった。自慰経験ありグループでは、男性の85.8%、女性の71.3%が過去1年間に自慰を経験しており、その頻度は男性では週1回、女性では月1回との回答が最も多かった。頻度は若年層ほど高い傾向にあったが、60歳女性でも週に5~6回との回答が2.2%あった。

 自慰は男女ともに約8割が手指のみで行っていたが、女性の18.5%がバイブレーター(性具)を使用していると回答しており、世代別には60歳代の22.2%が使用率のトップであることが目を引いた。

 女性のオーガズムについては、「いつも感じる」9.6%、「だいたい感じる」25.6%で、約3人に1人が感じていることが示された半面、「全く感じない」との回答も18.5%あった。未婚者では既婚者よりオーガズムを感じる割合が低かったが、40~60歳代では未婚者でも「感じる」割合が増えて、既婚者との差が認められなくなっていた。

 オーガズムを最も得やすいのは「性交の最中」が65.9%と最も多く、次いで「自慰をしているとき」の24.1%であった。性交の最中にオーガズムを得る割合は高年齢層ほど高くなる傾向にあり、自慰中のオーガズムは未婚20歳代で40.3%と最も高かった。

 オーガズムは年齢とともに得られやすくなり、それもクリトリス(陰核)のみならず、膣(ちつ)の刺激でも得られるようになる傾向が示された。

 性的刺激を受けて女性器(正確には尿道)から液体が吹き出す、いわゆる"潮吹き"の現象については、「何度もある」8.3%、「たまにある」26.1%との回答が得られ、世代間の違いは特に見られなかった。また、しばしば週刊誌などで潮吹きとオーガズムが関連しているかのような記述が散見されるが、今回のデータから「両者に相関はない」ことが示されたという。

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 北村氏は「『潮吹き=オーガズム』との誤った知識をうのみにし、何とかして潮を吹かせようと"努力"する結果、いわゆる"Gスポット"があるとされる膣前壁周辺組織を著しく損傷して婦人科を訪れる女性が後を絶たない」と注意を呼び掛けた。

性交痛の克服で"結婚を機にセックスレス"の解消を

 性交時に女性の膣が「濡れて」いなければ、挿入時に疼痛を訴えるのは必然的なこと。性交痛が性交嫌いやセックスレスの原因となる可能性も考慮すると、性交痛をなくし、性交をコミュニケーション手段の一つとして楽しむための環境を整える必要がある、と北村氏。

 では、実際にどの程度の女性が性交時に「濡れて」いるのか。「いつも濡れている」43.2%、「だいたい濡れている」42.4%の計85.6%が膣が潤滑している状態だった。一方で、性交痛については「いつも痛い」4.7%、「だいたい痛い」10.8%、「たまに痛いときがある」61.5%で、「痛みはない」と言い切ったのは23.0%のみ。

 膣潤滑と性交痛の関係を検討したところ、痛みを訴えるのは「いつも濡れている」グループで8.0%、「だいたい濡れている」グループで12.5%にとどまっていたのに対し、「全く濡れない」グループでは88.9%が痛みを抱え込んでいた。

 性交痛をパートナーに伝えているのは6割強に達していたが、痛みを伝えているにもかかわらず「いつも痛みを感じている」ケースも多い。北村氏は、性交痛による性的満足度の低下を抑え、セックスレスを助長しないようにする意味でも、膣潤滑剤を使用するなどの工夫、パートナーの理解・協力が必要だと指摘した。

 セックスレスを回避し、豊かな性の営みを楽しむために欠かせないと考えられるのが、パートナーが満足できる性交のための工夫だ。では、実際にどのような工夫が行われているのか。「特に何もしていない」との回答が約半数を占めてはいたが、残り半数からは、清潔を心掛ける、「愛している」などの言葉、エッチな言葉、照明や音楽などの工夫、酒を飲んで大胆に、下着に配慮、精力増強剤や勃起不全(ED)治療薬を使用などの回答が寄せられた。

 北村氏は「ちまたでよくいわれる"結婚を機にセックスレス"や少子化を抑える意味でも、性について正しく理解し、コミュニケーションの手段として楽しめるよう、皆で力を合わせていく必要がある。今後も調査を継続するとともに、そのデータを広く伝えて、積極的な議論の呼び水としたい」と強調した。

(編集部)

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