2013年02月14日 15:39 公開

ステロイド注射はテニス肘に悪い? 1年後の回復率低下

再発率も上昇―豪研究

 物をつかんで持ち上げたり、タオルをしぼったりすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出る上腕外側上顆(じょうか)炎。テニス愛好家に起こりやすいことから、「テニス肘」とも呼ばれている。湿布や塗り薬などとともにステロイド注射も一般的な治療法とされているが、オーストラリア・クイーンズランド大学健康・リハビリテーション科学部のBrooke K. Coombes氏らは、ストレッチや運動などの理学療法に比べ、ステロイド注射を行った患者では1年後の完全回復率などが低下し、再発率も上昇していたと、2月6日発行の米医学誌「JAMA」(2013; 309: 461-469)に報告した。

1年後の回復率14%低下、再発率は4.5倍

 Coombes氏らは2008年7月~2010年5月、オーストラリア・ブリスベンにある医療機関17施設を受診した18歳以上のテニス肘患者165人を対象に、

ステロイド注射を行うグループ(ステロイド単独群、43人) ステロイド注射+理学療法群を行うグループ(ステロイド+理学療法群、40人) 偽薬(プラセボ)を注射するグループ(プラセボ単独群、41人) プラセボ注射+理学療法を行うグループ(プラセボ+理学療法群、41人)

―の4群に分類し、1年間追跡。両肘や首、肩に痛みを訴える人などは除外した。

 ステロイドはトリアムシノロンアセトニド(商品名ケナコルト-A)10ミリグラムと局所麻酔薬リドカイン(商品名キシロカインなど)1%、プラセボは食塩水を用い、各群ともに1回注射。理学療法は、マッサージやストレッチなどと運動プログラムを含む30分の治療を8週間に8回行い、さらに家庭で1日2回、ゴムバンドを使った運動を行った。なお、参加者は全員、原因となった運動を避け、2週間は強度の高い運動を控えるなど、標準的なアドバイスを受けている。

 解析の結果、ステロイド注射群(ステロイド単独群、ステロイド+理学療法群)はプラセボ注射群(プラセボ単独群、プラセボ+理学療法群)と比べ、1年後に完全回復・顕著な改善を示した割合が14%低く、1年後の再発率もステロイド注射群の方が4.5倍高かった。

 一方、理学療法の有無で比較すると、1年後の完全回復・顕著な改善、再発率ともに、理学療法施行群(ステロイド+理学療法群、プラセボ+理学療法群)と理学療法非施行群(ステロイド単独群、プラセボ単独群)で差がなかった。26週間後の検討でも、同じ程度の結果だったという。

ステロイドの効果は短期的

 4週間後の検討では、ステロイド単独群はプラセボ単独群に比べて完全回復・顕著な改善率が高く、痛みやQOL(生活の質)が改善されていた。一方、ステロイド注射を行わない場合、理学療法単独群はプラセボ単独群に比べて完全回復・顕著な改善率が高く、痛みやQOLも改善。しかし、ステロイド+理学療法群とステロイド単独群を比べると差が認められなかった。

 以上から、ステロイド注射の効果は治療後の早い段階でなくなり、1年後の完全回復・顕著な改善率を低下させることが示された。理学療法については、1年後の改善には結び付いていなかったものの、プラセボ+理学療法群で短期的な効果があったこと、1年後の再発率が全てのグループで最も低かった(4.9%)ことを考慮し、Coombes氏らは「避けるべきではない」ともしている。

(編集部)

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