2013年03月07日 19:00 公開

血液検査前の絶食は意味なし? 脂質値への影響小さい

カナダ研究

 「明日は健康診断だから...」と食事の誘いを断る姿は健診の時期によく見る光景。血液検査で分かる血糖値、中性脂肪値などは、検査の前日夜から当日朝の食事に影響されるといわれているためだ。ところが、この絶食に疑問を投げかける研究結果が、米医学誌「Archives of Internal Medicine」(2012; 172: 1707-1710)に発表された。報告したカナダ・カルガリー大学医学部のDavinder Sidhu氏らによると、採血前の絶食時間が脂質値に及ぼす影響は小さかったという。同氏らは「日常的な血中脂質検査で、絶食は不要なことが示唆された」と述べている。

影響は2~20%未満

 健康診断の前日夜から絶食するのは、胃の検査のほか、血糖値や中性脂肪値などが食事の影響を受けやすいからだ。しかし、Sidhu氏らは「最近の複数の研究から、脂質値は食事による変動が小さく、空腹の状態で測定するよりも心臓病や脳卒中などのリスク予測に優れることさえあると示唆されている」と指摘する。

 同氏らは今回、カルガリーの住人20万9,180人(女性11万1,048人)を対象に、絶食時間と脂質値の関連を検討した。血液検査は2011年の6カ月間に行われた。

 その結果、絶食時間による変動幅は、総コレステロールとHDL(善玉)コレステロールで2%未満、LDL(悪玉)コレステロール値で10%未満、中性脂肪値で20%未満で、いずれも絶食時間による影響はほとんど受けないことが分かった。

 Sidhu氏らは「今回の結果から、日常的な血中脂質検査では、採血前の絶食はおおむね不要であることが示唆された」と結論付けている。

他の専門家からも支持の声

 米ブリガムアンドウイメンズ病院のJ. Michael Gaziano氏は、同誌の付随論評(2012; 172: 1705-1706)で「今回の研究から、絶食による変動は、特に総コレステロールとHDLコレステロールの測定で極めて小さいことが示された。血中脂質検査を行う主な目的は、この二つの値を測定し、治療方針の決定に役立てることにある。また検査前の絶食は患者の負担となることから、個人的に日常的な血中脂質検査は空腹でないときに行う方が望ましいと考えている」と述べた。

 同院のAmit V. Khera氏らも、同誌の招待解説(2012; 172: 1710-1711)で「これまで研究から、空腹でないときの脂質値は心臓病や脳卒中などのリスクの評価や治療の決定に使えることが示唆されてきた。今回の研究結果は、こうしたエビデンス(根拠となる研究結果)をさらに強固にするもの」とコメント。心臓病などのリスクとの関連を確かめる、さらなる研究の必要性を訴えた。

(編集部)

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