2013年04月03日 12:30 公開

投球時に肩の前や後ろが痛む「野球肩」、投手に多い

リハビリが大切

 「野球肩」は野球の投手に多い肩関節の障害で、投げる時に肩が引っ掛かる感じがしたり、肩関節の前や後ろが痛んだりする。東京女子医科大学東医療センター整形外科の神戸克明准教授に、原因や治療法などについて聞いた。

関節唇が骨から剥離

 野球肩は多くの場合、投げていない時は痛くない。中学や高校の野球選手に起こりやすいほか、腕を高く上げるスポーツのバレーボールや水泳、重い物を持ち上げる重量挙げ、ぶら下がる体操などでも起こる。

 肩関節は、球状の上腕骨の骨頭と、肩甲骨の関節窩(か)と呼ばれるくぼみが組み合わさったもの。この関節窩は関節唇(しん)という軟骨の一種で縁取られていて、関節唇に上腕二頭筋の腱(けん)が付着している。関節唇が投球時の力によって引っ張られ、骨から剥離してしまうことが野球肩の原因と考えられている。損傷の箇所によって肩の前方や後方が痛む。

 治療ではまず、リハビリテーションが大事だ。股関節が硬いと肩の障害を起こしやすいので、股関節のストレッチと片足でのバランス訓練をする。腕を内側に引き付ける力(内旋筋力)が弱くても肩を痛めやすいため、チューブなどで内旋筋を強化する。さらに、肩周囲の筋肉を温めて緊張を取り、ストレッチを行う。

内視鏡で修復手術も

 リハビリを3カ月以上続けても効果が得られない場合や、痛くて遠投ができない場合は、内視鏡を使い、剥離した部分を縫って修復する手術を行う。

 2泊3日の入院で、手術翌日からリハビリを始め、肩周囲の筋肉の緊張を取りながら、動かせる範囲を広げる可動域訓練を行う。術後3カ月で、ボールを投げずに投球動作を繰り返すシャドーピッチングを開始し、徐々に遠投を始め、術後半年で試合復帰を目指す。遊び程度の野球なら、3カ月ほどで復帰できる。

 神戸准教授は「野球肩の予防には、肘下がり、体重移動、ボールを離すタイミングなど、肩や肘に力を入れない投球フォームを心掛ける。それには、体のバランスを良くし、股関節が柔軟な体作りが重要。体調を保つため、生活のリズムを整え、十分な睡眠を取ることも大切です」と助言する。

(編集部)

2012年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)