2013年04月18日 12:06 公開

「愛着不安」強い夫婦で免疫機能低下―米研究

関係への懸念や不安でストレス上昇

 夫婦生活への懸念や不安が強い人は、免疫機能が落ちているかもしれない―。そんな研究結果が、米オハイオ州立大学行動医学研究所のLisa M. Jaremka氏らによって、米医学誌「Psychological Science」(2013; 24: 272-279)に発表された。夫婦28組を検討した結果、相手との関係に懸念や不安を抱く「愛着不安」(attachment anxiety)が強い夫婦はストレスのレベルが高く、免疫に重要な役割を果たすT細胞の数が少なかったという。

ストレスホルモンが11%増

 Jaremka氏らによると、「愛着不安」とは対人関係に対して懸念や不安を抱くこと。その程度が強い人は相手に拒絶されることを極端に心配し、自分が愛されていることを絶えず確かめようとしたり、対人関係で起きた出来事を否定的に捉えたりする傾向があるという。

 同氏らは今回、85組の夫婦(結婚生活平均12年、平均年齢39歳)に、対人関係に関するアンケートや不安症状、睡眠の質などの自己申告してもらい、唾液と血液からストレスホルモンのコルチゾールや、免疫に深く関係するリンパ球、T細胞を測定した。

 その結果、愛着不安が弱い人に比べて強い人では、コルチゾールの濃度が平均11%高かった。また4種のT細胞(CD3T細胞、CD45T細胞、CD3CD4T細胞、CD4CD8T細胞)を分析したところ、愛着不安が強い人でT細胞の数が少ないことも分かったという。

 以上の知見について、Jaremka氏らは「対人関係での満たされない感情、あるいは他人から切り離されているといった感情が、体の機能に影響することが示された。コルチゾールには免疫を抑えてT細胞の産生を阻害する作用があるため、この結果はうなずけるもの」と考察している。

保護者の接し方が影響か

 愛着不安は、小児期の発達に関係すると考えられている。窮地に陥ったときに保護者が思いやりのある対応をすることで、子供は他者への信頼を学習する。一方、保護者の接し方に一貫性がなかったり無視されたりすると、子供は不安感を募らせ、後々に愛着不安という形で現れる可能性がある。

 Jaremka氏らは「対人関係については誰もが時折悩むものだが、愛着不安が強い人は、常に不安を抱えている」と説明。また、「愛着不安は幼児期に親から無視されるなど、保護者の影響によるところが大きいとする説があるものの、その一方で、愛着不安は矯正できるとする研究結果も報告されている。愛着不安は決して取り除けないものではない」と指摘している。

 不安感の軽減に有効な解決策は、今のところ明らかになっていない。しかし、愛着不安の研究者の間では、思いやりのある、愛にあふれた親密な関係が、極度の不安を和らげるきっかけになるという考えが支持されているようだ。Jaremaka氏は「人は変わることができる、ということだけは確か」と述べている。

(編集部)

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