2013年05月29日 12:03 公開

サイバーナイフ治療、エックス線でがんを集中攻撃

正常細胞への影響最小限に

 「サイバーナイフ」は、がんを狙い撃ちする放射線治療装置。多方向から集中的にエックス線をがんに照射、大切な器官が近くにあるなどの理由で、これまで治療が難しかったケースにも用いられる。痛みもなく日帰りの治療が可能だ。日本赤十字社医療センター(東京都)サイバーナイフセンターの佐藤健吾医師に聞いた。

軍事技術を応用

 放射線療法は、手術などによる外科療法、抗がん薬などによる化学療法と並ぶがんの三大治療法の一つ。がん細胞は、正常細胞に比べて放射線のダメージが大きく、この性質を利用してがん細胞の増殖を妨げる。ただ、正常細胞も痛手を受けるため、それをいかに抑えていくかが課題だった。

 サイバーナイフは、コンピューター制御の小型放射線装置を持つロボット。佐藤氏は「四方八方からエックス線を放射し、がんを串刺しにして息の根を止めます」と説明する。一方向当たりの線量を少なくすれば、その分、正常細胞の負担を軽くできるという。

 脳腫瘍の治療では、患者はベッドに横になって特注の治療用マスクを装着し、頭部を固定する。サイバーナイフには、ミサイルを自動追尾する軍事技術が応用されており、1センチ以内の照射のずれは自動的に補正される。神経や重要な臓器が近くにあっても、比較的安全に治療ができるという。

即効性はない

 照射時間は30~90分。痛みなどの苦痛はないが、照射後に吐き気や目まいなどが起こることがある。即効性はなく、効果は月単位で出てくる。外来で数日に分けて治療を受けることも可能だ。

 佐藤氏が過去12年間にサイバーナイフで治療を行った患者は6,000人を超え、現在も2歳から97歳までの患者が治療を受けている。

 「照射した所をコンピューター断層撮影(CT)などで観察すると、がんは小さくなっていたり消えたりしています。また、がんの骨転移による痛みも消える。がんが作り出す物質である腫瘍マーカーも下がります」(佐藤氏)

 同医療センターの場合、サイバーナイフは強度変調放射線治療として厚生労働省の認可を受けており、脳腫瘍だけでなく、肺、肝臓、前立腺など臓器にできるほとんどのがんが医療保険での治療の対象になっている。

(編集部)

2012年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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