2013年06月12日 12:34 公開

治療ガイドと管理が一冊で! 学会発行の「心不全手帳」

「連携手帳」と「記録手帳」のセット

表紙、連携手帳、記録手帳、カバー(左から)
表紙、連携手帳、記録手帳、カバー(左から)

 自分がかかった病気がどんなもので、どんな治療法があるのか――患者なら誰でも知りたいことだが、診察の際に医師や看護師らに詳しく聞けない人も多いだろう。また、病気よっては日々の管理が重要になってくる。心不全に関して、こうした問題を一気に解決してくれる「心不全手帳」が、日本心不全学会(理事長=東京医科歯科大学医学部・磯部光章教授)から発行された。治療のガイドとなる「連携手帳」と、毎日の血圧や自覚症状などを患者自身が記入していく「記録手帳」のセットで、心不全に関する知識が得られるとともに、自身の状態が把握できる内容だ。同学会は、心不全患者は保険証や「おくすり手帳」などとともに「心不全手帳」を持ち歩くよう推奨している。

イラスト多用し分かりやすい内容

 心臓は、栄養や酸素などが詰まった血液を全身に送り出すポンプの役割をしているが、心不全はさまざまな原因によってそのポンプ機能が弱った状態をいう。症状は息苦しさやむくみ、疲れやすさなどで、症状が悪化すると日常生活に支障を来すだけでなく、命にも関わる危険な病気だ。

 心不全患者は日本国内で約100万人いるとされるが、心不全がどんな病気か、治療にどんな意味があるのか、運動や食事のときの注意点などをきちんと理解している人はそれほど多くはないだろう。しかし、心不全の悪化を防ぐには、病気のことをよく知った上で生活すること、薬を飲むことの大切さを理解してきちんと服用することなどが重要となる。

 「心不全手帳」の「連携手帳」は、心不全に関する基礎知識から検査、治療法、食事や運動、入浴の際の注意点までを、イラストをふんだんに使って分かりやすく解説している。例えば、心不全を悪くするきっかけとして、(1)塩分や水分の取り過ぎ、(2)体の動かし過ぎやストレス、(3)薬の飲み忘れ―を挙げ、これらに気を付ければ悪化を防ぐことができるとしている。また、なぜ薬を飲み続けるのか、処方された薬にどんな効果があるのか、減塩のコツなども紹介。実質35ページながら文章量は少なく、心不全という病気を気軽に理解できる内容だ。

 一方、「記録手帳」は毎日の体重、血圧、脈拍、自覚症状などを記録していく冊子。自覚症状は息切れ、むくみ、疲れやすさ、食欲低下、不眠の5項目が用意されているが、空欄やメモ欄もあるので、気になることがあれば自分で自由に記入することも可能となっている。心不全患者にとって重要な体調の変化を自身で把握できるだけでなく、旅行や他の病院を受診する際、また災害時などに、おくすり手帳などとともに活躍してくれそうだ。

主治医から入手を

 日本心不全学会によると、これまでも同様の手帳はあったものの、各医療機関などが独自に作っており、質の統一や患者が満足いくものの作成が難しかったという。手帳を二つに分けた理由として、同学会は「記録手帳の書き込みスペースが埋まったら、新しいものに交換してもらうため。心不全がどういうものかを理解したら連携手帳は手元に置いてもらって、記録手帳は保険証や診察券、おくすり手帳などと一緒に透明カバーに入れて持ち歩いてほしい」と説明している。

 「心不全手帳」は主治医から入手できる。医療機関によっては在庫がない場合があるので、診察の際に問い合わせるとよいようだ。

 同学会は「患者さんが日常生活をする中で、セルフケアの手助けになる手帳。主治医に遠慮なく伝え、入手してほしい。分かりやすく説明しているが、全て心不全の治療ガイドライン(指針)に沿った内容となっている。心不全の専門家による学会が作成したので、内容を信頼して使って」と呼び掛けている。

(小島 領平)

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