2013年07月08日 19:00 公開

体外受精で知的障害リスクが微増、自閉症リスクは上がらず

スウェーデン研究

 1978年、英国のノーベル賞受賞生理学者ロバート・G・エドワーズらによってルイーズ・ブラウンさんが誕生して以来、世界でおよそ500万人が体外受精によって生まれたといわれる。体外受精児には先天異常が発生するリスクも報告されてきたが、昨年に発表された大規模な研究では、そうしたリスクの上昇は確認されなかった(関連記事)。英ロンドン大学キングズカレッジ精神医学研究所のSven Sandin氏らは、スウェーデンで出生した250万人を10年間追跡したところ、体外受精児では自閉症(自閉性障害)になるリスクは通常の出生児(自然出生児)と変わらなかったが、知的障害(精神遅滞)ではわずかながらリスク増加が確認されたと、7月3日発行の米医学誌「JAMA」(2013; 310: 75-84)に発表した。

双子以上除くと知的障害リスクも上がらず

 体外受精は、自然受精でない顕微授精(精子を卵子に直接注入する方法)を含めて安全とされているが、早産のリスクが増加することなどが報告されているという。とりわけ、顕微授精は精子を卵子に注入する際に卵細胞を傷つける可能性がある。

 Sandin氏らが対象にしたのは、1982年1月1日~2007年12月31日にスウェーデンで生まれた254万1,125人(自然出生児251万166人、体外受精児3万959人)。体外受精児は、顕微授精による1万718人(新鮮胚移植9,241人、凍結胚移植1,477人)、顕微授精によらない1万9,445人(同1万6,668人、2,777人)、手術で取り出した精子を使った顕微授精による796人(同628人、168人)に細分化した。なお、新鮮胚移植は卵子を採取した周期のうちに受精卵を子宮に戻す方法、凍結胚移植(凍結融解胚移植)は受精卵をいったん凍らせ、母体の状況が良い周期に解凍して子宮に戻す方法だ。

 2009年12月31日まで追跡した結果、自閉症は自然出生児と体外受精児の差が認められなかったが、知的障害は体外受精児でリスクが18%上昇していた。ただし、双子以上の多胎出生児を除くと、知的障害リスクの差もなくなったという。

手術で精子取り出す方法でよりリスク高い

 さらに、体外受精児の中でも顕微授精を行わず新鮮胚移植の場合を基準に検討したところ、「顕微授精・新鮮胚移植」で知的障害リスクが1.5倍、「手術で取り出した精子を使った顕微授精・新鮮胚移植」では自閉症リスクが4.6倍、知的障害リスクが2.4倍に増加していた。

 双子以上の多胎出生児を除くと「手術で取り出した精子を使った顕微授精・新鮮胚移植」のリスクはなくなったが、「顕微授精・新鮮胚移植」で1.60倍、「顕微授精・凍結胚移植」では2.36倍にリスクが増えていた。

 なお、「手術で取り出した精子を使った顕微授精・新鮮胚移植」は、早産で自閉症リスクが9.54倍、知的障害リスクが4.38倍と顕著なことも認められた。

 以上のことから、Sandin氏らは「体外受精児の自閉症リスクは自然出生児と変わりなかったが、知的障害リスクではわずかながら増加していることが分かった。また、体外受精の方法では『手術で取り出した精子を使った顕微授精・新鮮胚移植』でよりリスクが高いことが認められた」と結論。他国や他の人種などを対象としたさらなる研究が必要としている。

(編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)