2013年07月09日 06:00 公開

野菜ジュース、本当に"1日1本"で大丈夫?

 野菜ジュースで「1日1本飲めば必要分が取れます」という商品がありますよね? 本当にあれだけ飲んでいれば野菜を食べなくても大丈夫なんでしょうか。私は食べないよりマシかなくらいの気持ちで毎朝飲んでいます。可南子(女性20代)

「野菜ジュースを飲んでいるから野菜を食べなくても大丈夫」ということはありません。

 野菜ジュースはあくまでも食生活の補助として上手に利用しましょう。

 「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、健康を維持するために必要な野菜の摂取目標量を成人1日当たり350グラム以上としています。

 野菜ジュースの中には「1日分の野菜を使用」などと表示されているものもあり、これだけで野菜を十分に取れるようなイメージがあります。野菜を手軽に簡単に取れるという利点はありますが、野菜不足を完全に補うことはできません。

 ちょっと前のデータですが、2000年に国民生活センターが野菜ジュースを中心に商品テストを行ったところ、生の野菜と野菜ジュースでは栄養成分のバランスが異なることが分かりました。野菜ジュースだけでは野菜の代わりにならないことを明らかにしています。野菜ジュースは「濃縮還元」製法が多く、製造工程や殺菌のための加熱処理によって失われてしまう栄養素があり、食物繊維やビタミンが少なくなっています。

 2010年に行われた厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、実際には1日当たりの野菜平均摂取量は281.7グラムで、目標の80%程度でした。野菜をたくさん取るのはなかなか難しく、気にはなっていても野菜が不足気味という人の多いことが分かります。

 残念ながら野菜ジュースは野菜の代わりにはなりません。補助的な働きしかできませんが、不足しがちな野菜を摂取する一つの方法としてはよいと思います。多種多量の野菜が凝縮され、品質も均一に保たれ、いつでも効率良く野菜を摂取できるという野菜ジュースの利点を上手に生かしましょう。

 飲料メーカーのホームページなどでは、野菜ジュースを使ったレシピが紹介されています。こうしたレシピを活用するほか、調理の簡単な野菜料理をレパートリーとして増やしたり、カット野菜や市販されているお惣菜を利用したりするなど工夫して、積極的に野菜を食べるように心掛けることが大切です。

中野 里美(なかの さとみ)

 1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。