2013年07月17日 10:30 公開

生まれつき歯の本数が足りない「歯の先天性欠如」

放置すると顎関節症になることも

 生まれつき歯が足りない異常を、歯の先天性欠如という。乳歯にも永久歯にも見られるが、多い割にはあまり知られていない。放置すると、顎(がく)関節症になったり顎の成長に悪影響を及ぼしたりすることもあるという。歯の先天性欠如について知っておきたいことを、日本大学歯学部(東京都)歯科矯正科の田村隆彦診療准教授に聞いた。

遺伝や妊娠中の服薬などが原因

 歯の先天性欠如は病気ではなく、形成異常の一つ。生まれつき歯の数が足りないため、生えてくるはずの歯が生えてこない異常で、乳歯にも永久歯にも見られる。

 「歯の先天性欠如は、乳歯だと子供の1~2%程度、永久歯が1本以上欠損する人の割合は10%前後との報告があります。歯の先天性欠如で一番多いのは遺伝です。その他の原因としては、乳歯の歯胚(歯のもととなる細胞の集まり)ができるとされている受精後6~7週目での母体の発熱や服薬などが考えられます」(田村診療准教授)

 永久歯の欠如は、親知らずのほか、上顎なら側切歯と呼ばれる真ん中から2番目の前歯、下顎なら第二小臼歯(真ん中から5番目)に多く見られる現象だ。

 田村診療准教授は「放置しておくと、歯の間に隙間が空くことに加え、例えば上の歯がなければ、対合歯である下の歯の異常萌出(ほうしゅつ=歯が生えること)や顎の成長への悪影響、さらにはかみ合わせが深くなることで顎関節症などにつながる可能性があります」と注意を促す。

矯正治療では保険適用のケースも

 治療法としては、歯と歯の隙間を詰める矯正や、両脇の歯に橋をかけるようにしてない場所の歯を補うブリッジ、顎の骨にチタン製の歯根を埋め込むインプラントなどが挙げられる。あまり知られていないが、矯正治療には健康保険が適用される場合もある。

 「唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)、クルーゾン症候群など国の定める先天異常には、矯正治療に健康保険が適用されます。また近年、親知らずを除く永久歯が6本以上欠損している場合にも、大学病院では保険の適用が認可されました。しかし、保険適用対象の病気でも、治療法によっては保険が下りないケースもあるため、どんな選択肢があるのか、近くの矯正科に相談してもよいでしょう」(田村診療准教授)

 歯の治療は食事などの日常生活に直結するため、慎重な判断が求められる。治療を考えている場合には、まずは矯正科に相談し、納得の上で治療を始めたい。


(編集部)

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