2013年07月17日 10:30 公開

妊娠初期のヨウ素不足で子供のIQや読解力が低下―英研究

取り過ぎは甲状腺障害の原因に

 コンブなどの海藻類に多く含まれているヨウ素(ヨード)は、妊娠中や授乳中にはより多くの量が必要になる。英サリー大学保健・医学部のMargaret P. Rayman教授らは、英国人の母子1,040組のデータを解析した結果、妊娠初期(12週まで)にヨウ素が欠乏すると、子供の知能指数(IQ)や読解力などが低下する可能性があると、英医学誌「Lancet」(電子版)に発表した。ただし、海産物を多く食べる日本人はむしろヨウ素の取り過ぎが指摘されており、妊婦が取り過ぎると本人だけでなく、子供の甲状腺などにも異常が出るとされている。

ヨウ素濃度低いほどIQなど低下

 ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する栄養素で、胎児の脳の発達に直接影響することが知られている。これまで、妊娠中に重度のヨウ素欠乏があると死産や流産、胎児の先天異常などになりやすいという研究結果が出ているが、軽度や中等度の不足が子供に与える影響について検討した研究は少なかったという。

 Rayman教授ら今回、1991~92年に英西部ブリストルを中心として行われた研究(ALSPAC)の参加者のうち、母親1,040人とその子供を対象に検討した。母親の妊娠初期に採取した尿に含まれているヨウ素の濃度によって、通常グループと不足グループに分類(尿中ヨウ素/クレアチニン比が150マイクログラム/グラム未満で「不足」)。対象となった妊婦の67%が不足グループに分類されたという。また子供については、8歳時のIQ、9歳時の読字能力(速度と正確性)、読解力を評価した。

 親の教育レベルや母乳育児などの影響を除外して解析したところ、不足グループの子供はIQ、読字の正確性、読解力が低い割合が高かった。また、ヨウ素の濃度が低いほど子供のIQと読字能力の平均スコアが低下したという。

EPAやDHAとは別に作用

 以上のことから、Rayman教授は「妊娠初期に適切なヨウ素濃度を保つことの重要性が明らかになった。軽度のヨウ素不足でも子供の発達リスクをもたらす。英国の妊婦におけるヨウ素不足は、重大な問題と捉えて対応すべきである」と主張している。

 ALSPAC研究ではすでに、妊娠中に海産物を食べることが子供のIQと関連することが示されていた。この結果が発表された時点では、海産物に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのω(オメガ)3脂肪酸が関係していると推測されていた。

 しかし、今回の研究ではω3脂肪酸の摂取量も除外して検討したことから、これまでに理解されていた以上にヨウ素濃度が子供の認知機能に強く関連している可能性が示されたことになる。

日本人はヨウ素不足の心配なし

 一方、海産物をより多く食べる日本では、ヨウ素の取り過ぎが指摘されている(関連記事)。妊婦は大人の推奨量(130マイクログラム)に110マイクログラム、授乳婦は140マイクログラムを加えた量が勧められており、標準の大人の上限量は2,200マイクログラムとされている(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2010年版)。

 しかし、日本人が好むコンブには1食分でヨウ素が3,600マイクログラムほど含まれており、コンブだしには1食分で1万2,300マイクログラム(文部科学省「日本食品標準成分表2010」)。このほかにも海産物の摂取量が多いことから、日本人のヨウ素不足の心配はないといわれている。

 米ジョージ・ワシントン大学のAlex Stagnaro-Green氏は今回の研究結果を受け、ヨウ素不足をなくすため妊娠中にヨウ素を含んだサプリメント(栄養補助食品)を服用するよう提言しているが、日本人には今のところ必要なさそうだ。

(編集部)

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