2013年09月24日 06:00 公開

つむじを押すと下痢になる?

 「つむじを押すと下痢になる」って小学生の頃に話題でした。でも、本当におなかが下るんでしょうか。当時、押されて少し緩くなった気がしましたが...。

タクロー(男性30代)

医学的な根拠はありません。

 子供の頃、つむじを押して「下痢になるかも!」などとからかったり、からかわれたりした人がいらっしゃることと思います。ご質問の方は、つむじを押されて便が緩くなった気がしたとのことですが、同じような経験をした人もいらっしゃることでしょう。そして、その後は、つむじを押されると「またおなかを壊してしまうのか?」と心配になったのではないでしょうか。

 しかし、つむじと腸の動きは全く関係ないのです。「つむじを押すと下痢になる」ことは医学的に検証されていません。

 では何故、便がゆるくなったのでしょう。「つむじを押されたから下痢になる」という暗示にかかったことが考えられます。ちょっとしたイタズラのつもりだったのでしょうが、胃腸は心の影響を受けやすいのです。思い込みが一種の暗示となって、おなかに影響が出る場合があります。

 似た例として、「牛乳を飲むと下痢をする」が挙げられます。「乳糖不耐症」の人は、牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素の働きが弱いため、牛乳を飲むと激しい下痢を起こします。しかし、乳糖不耐症ではないのに「牛乳によって下痢する」と自己暗示にかかって下痢になってしまう人がいらっしゃいます。牛乳でなくても冷たい飲みものを一気に飲むと、腸を刺激しておなかは緩くなりがちですが、暗示による影響が大きいと考えられています。

 また、胃腸と脳には密接な関係があり、脳が不安やストレスを感じると、その信号が腸に伝わって影響が出ることも知られています。通学や通勤途中の電車内や試験の前、大事な会議の前におなかが痛くなったり、お手洗いに駆け込んだりする人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。これらは暗示というよりも、不安やストレスによると考えられています。このような経験を慢性的に繰り返す場合は、「過敏性腸症候群」という病気の可能性があります。

 私達が思っている以上に、胃腸は脳や心の影響を受けているのですね。

中野 里美(なかの さとみ)

 1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。