2013年10月21日 10:30 公開

大気汚染、基準値以下でも胎児の発育に影響―欧州研究

PM2.5などの上昇で低出生体重リスク増加

 スペイン環境疫学研究センターのMarie Pedersen氏らは、欧州12カ国で行われた14件の研究を解析した結果、大気汚染の度合いが欧州連合(EU)が定めた基準値を下回っても胎児の発育に影響すると、10月15日発行の英医学誌「Lancet Respiratory Medicine」(電子版)に報告した。直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」のほか、同10マイクロメートル以下の「PM10」や二酸化窒素でも、濃度が上昇するごとに低出生体重(生まれたときの体重が2,500グラム未満)のリスクが増えていたという。

WHO基準ではリスク22%減少

 Pedersen氏らは、1994年2月11日~2011年7月2日に欧州12カ国で行われた7万4,178組の母子(双子以上の出産を除く)が対象の14件の研究から、妊娠中の住所、子供の出生時体重、おなかの中にいた期間、性別などのデータを収集。加えて、参加者への聞き取り調査も行った。

 2008年10月~2011年2月に各地域で大気汚染の程度を調査し、妊娠中に住んでいた場所の環境汚染物質の濃度を推計し、住所から最も近い道路や100メートル以内の全ての幹線道路の交通量も調査した。

 その結果、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が1立方メートル当たり5マイクログラム上昇するごとに、低出生体重リスクが18%増加していた。現在、EUが示している大気環境基準の限界値(年間平均25マイクログラム)より低い20マイクログラムの範囲内でも、低出生体重リスクが増加しており、直径10マイクロメートル以下の粒子状物質「PM10」や二酸化窒素でも、濃度が上昇するごとに低出生体重リスクが増加していた。また、住所に最も近い道路の交通量が増えると低出生体重リスクの増加が見られたという。

 PM2.5の濃度を世界保健機関(WHO)の基準値(年間平均10マイクログラム)まで抑えた場合、低出生体重リスクを22%減らすことができると推計された。

英学会「たばこや酒によるリスクの方が大きい」

 この結果を受けて、英国産科婦人科学会は声明を発表。「今回の結果で、妊娠中に大気汚染物質へさらされると、出生時の体重が減るなどの関連が明らかになった。日常生活である程度の大気汚染物質にさらされることは避けられないが、実際のリスクは低い。一方で、喫煙や高血圧、アルコールの取り過ぎなどの要因の方が低出生体重のより大きなリスクと考えられる」との意見を表明している。

(編集部)

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