2013年11月05日 06:00 公開

梅干しで腹痛が治る?

 おなかが痛いときに梅干しを食べると治るっていいますよね? 私は治ったことがないし、はっきりいってウソだと思っています。信じて疑わない妻をギャフンと言わせたいです。

隆志(男性40代)

梅干で良くなる腹痛もあります。

 梅干は、平安時代の書物に効能が記載されているほど重宝され、日本人にとってはなじみの深い食べ物です。

 梅干について考えただけでも、唾液がたくさん出てくる方が多いのではないでしょうか。梅干は唾液を出させる効果がとても高く、唾液に含まれているアミラーゼはでんぷんの消化を助けます。食べ過ぎて胃もたれした時に、梅干のお茶漬けを召し上がってすっきりした経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

 昔から食あたりのような腹痛や二日酔いのむかつき、胃もたれには梅干しが良いといわれています。梅は体に良いイメージがありますが、科学的に分析されたのはごく最近です。

 梅干の酸味の主体であるクエン酸には、胃腸の働きを活発にして食欲を増進させ、タンパク質の消化を助ける働きがあります。腸内細菌の悪玉菌を抑制し、整腸作用の効果もあるとされています。

 梅干に含まれているクエン酸やベンズアルデヒドに微生物や細菌の繁殖を抑えることが研究で明らかになりました。おにぎりやお弁当に梅干を入れることは、理にかなっていたのです。

 また梅には、胃がんの原因の一つであるピロリ菌を変形し、運動能を失活させる成分が含まれていることも明らかになりました。

 このように近年の研究により「抗菌活性がある」「消化器系への効果がある」などといわれていますが、人間での有効性については信頼できるデータがまだ十分ではありません。今後研究が進むことによって、梅に秘められた力が明らかになってくるのが楽しみです。

 梅干しには、薬に匹敵するほど先人たちの知恵が凝縮されているのですね。

中野 里美(なかの さとみ)

 1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。