2013年12月04日 17:30 公開

妊娠中のステロイド注射で子供がADHDに? フィンランド

メンタルヘルスに悪影響

 早産の可能性がある場合、子供の肺の発達を促すために妊婦に対してステロイド薬を注射することが医療現場で行われている。しかし、英インペリアル・カレッジ・ロンドン疫学・生物統計学部のNatasha Khalife氏らは、フィンランドのデータを解析したところ、この処置が注意欠陥・多動性障害(ADHD)などのメンタルヘルス(精神衛生)に悪影響を与えると、11月22日発行の米科学誌「PLoS One」(電子版)に報告した。

8歳、16歳時点の状況を検討

 早産の可能性がある妊婦にステロイド薬(合成糖質コルチコイド)を注射するのは、胎児の肺の発達を促し、呼吸不全や死亡リスクを減らすことが目的だが、同時に胎児の脳の発達に悪影響を与えることが動物実験で明らかにされている。ただし、人間に対する影響についてははっきりとした結果が出ていなかった。

 Khalife氏らは、出産予定が1985年7月1日~1986年6月30日で、妊娠中にステロイド薬の注射を受けた母親の子供37人と、母親の妊娠期間などが同じでステロイド薬の注射を受けていない母親から生まれた子供185人とを、8歳と16歳の時点でのメンタルヘルス上の状況について比較した。

該当する子供の厳重な観察を

 子供本人や母親、教師から、子供のメンタルヘルスに関して評価した結果、母親がステロイド薬の注射を受けた子供は、8歳時点での全般的な精神障害や不注意に関する評価点数が低く、ADHDを含むメンタルヘルスへの悪影響が示された。

 16歳時点では、8歳時点ほどはっきりとした結果は得られなかったものの、同じ傾向が見られた。さらに、母親の妊娠期間と子供の性別を一致させて比較対照を6,079人に広げても、結果は同様だった。

 Khalife氏らによると、今回の研究は、母親が妊娠中にステロイド薬の注射を受けた子供のメンタルヘルスへの影響を長期的に検討した初めてのものという。同氏らは「妊娠中のステロイド薬の注射が、子供の将来的なメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが示唆された」と結論。より長期にわたる検証の必要性を訴えつつ、こうした子供について厳重な観察が不可欠とした。

(松浦 庸夫)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)