2013年12月05日 17:30 公開

気候変動で病気が増える―WHOが懸念

感染症だけでなく心臓病や精神疾患も

気候変動がもたらす自然災害もきっかけに
気候変動がもたらす自然災害もきっかけに

 地球温暖化による気候変動は、凍死者を減らしたり作物の生産量を増やしたりなど、一部の地域で良い効果をもたらす可能性があるが、健康への悪影響は圧倒的―。WHO(世界保健機関)は、ポーランド・ワルシャワで開かれた国連気候変動会議(11月11~22日)に向けた声明で明らかにした。気候変動によって増える病気は感染症だけでなく、心臓病や精神疾患など多岐にわたるという。

マラリアやデング熱の患者が増える可能性

 声明では、気候変動はこの50年間の特に化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)の使用による一酸化炭素や温室効果ガスの増加によるものと指摘。過去100年で、地球上の平均気温が約0.75度上昇しているほか、この25年だけでも10年ごとに0.18度と気温の上昇度が加速していると述べている。

 気温の上昇は海水面の上昇や気象などの変化をもたらし、ハリケーンや豪雨など激しい気象現象が発生することも増えている。一方、冬の寒さによる死者の減少、あるいは一部の地域では作物の生産量が増えるなど一部で良い効果をもたらしているものの、地球全体の健康に対しては圧倒的に負の影響を与えているとした。

 温暖化でまず懸念されるのが、昆虫や細菌などがもたらす感染症の増加だろう。こうした病気を媒介する生き物は熱帯の気候を好み、温暖化によって生息する地域が広がっている。声明では、中国で住血吸虫症の報告地域が拡大していることを指摘。アフリカを中心に年間100万人以上の死者が出しているマラリアやデング熱といった蚊が媒介する感染症も気候変動の影響を受けやすく、今後さらに患者が増加する可能性にも言及している。

自然災害や海面上昇が招くストレス

 また、気温の急激な上昇は大気中のオゾンや汚染物質を増加させ、特に高齢者の心臓病や肺炎などの呼吸器疾患による死亡に直接影響する。2003年の夏には、異常気象によって欧州全体で7,000人が死亡した(超過死亡)という。

 さらに、気候に関連したハリケーンや豪雨などの自然災害は1960年代の3倍に増加しており、途上国を中心に年間6万人の死者が出ている。異常気象による自然災害や海水面上昇で住むところを追われ、それによるストレスは精神疾患から感染症までさまざまな病気をもたらすとも警告した。

 WHOは気候変動を食い止め、こうした健康問題を解決するためには、より効率的な交通網の整備や食品、エネルギー消費の選択などによる温室効果ガスの減少が必要と提言している。

(編集部)

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