2013年12月18日 10:30 公開

ある食事パターンで自殺リスク半減―国立がん研究センター

日本人9万人のデータから判明

 2012年の年間自殺者数が15年ぶりに3万人を下回ったとはいえ、自ら命を絶つ人は依然として多い。その要因として、健康や家庭、経済的問題など心理的な問題と社会的な問題が注目されているが、そればかりでもないようだ。国立がん研究センター(東京都)が取り組む多目的コホート(JPHC)研究で、国内の成人男女約9万人のデータについて、食事パターン別に自殺リスクを検討したところ、男女ともに「健康型」の食事パターンの傾向の強い人では自殺リスクが50%以上低いことが分かったと、英医学誌「The British Journal of Psychiatry」12月号(2013; 203: 422-427)に報告した。

健康型・欧米型・伝統型のパターンで比較

 今回の研究の対象者は、岩手、秋田、茨城、東京、新潟、長野、大阪、高知、長崎、沖縄の各都府県にある11保健所館内に住む40~69歳の男女計8万9,037人(男性4万752人、女性4万8,285人)。1990年または1993年に調査を行った。

 研究開始から5年後に143項目の食品・飲料の摂取量について調べ、それによって「健康型」「欧米型」「伝統型」の3つの食事パターンに分けた。各パターンの食事内容は以下のようになっている。

  • 健康型......野菜・果物、イモ類、大豆製品、キノコ類、海藻類、脂の多い魚、緑茶など
  • 欧米型......肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク(清涼飲料水や栄養ドリンク)、マヨネーズ、乳製品、魚介類など
  • 伝統型......ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物など

 食事パターンの傾向の強さを点数化し、点数によって4つのグループに分類。その後の追跡期間中に起きた自殺との関連を調べた。なお、追跡期間およそ8.6年の間に249人が自殺し、このうち163人は追跡開始4年以降だった。なお、研究前からうつ病などにかかっていた場合に影響が及ぶため、追跡4年未満の自殺リスクについては検討しなかった。

葉酸やビタミンCなどのおかげ?

 その結果、健康型の食事パターンでは、点数が最も低いグループに比べ、最も高いグループで男性の自殺リスクが53%低下。女性でも54%の低下傾向が見られた。一方、欧米型と伝統型の食事パターンでは、自殺リスクとの関連は認められなかった。

 今回の研究者の一人で、国立国際医療研究センター(東京都)臨床研究センターの南里明子室長(疫学予防研究部栄養疫学研究室)は「男女ともに、健康型の食事パターンで自殺リスクが低下する結果が得られた。その理由として、健康型の点数が高いグループでは、葉酸や抗酸化ビタミン(ビタミンCやカロテン)の摂取が多いことが考えられる」と説明。これらの栄養素は、自殺の危険因子として知られるうつ病やうつ状態に対する予防効果が報告されている。

 その上で「食事パターンとして総合的に見ることで、栄養素の相乗効果も期待できる」とコメントした。

  • JPHC研究...生活習慣とがん、脳卒中、心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本の生活習慣病予防に役立てるための研究

(松浦 庸夫)

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