2013年12月19日 10:30 公開

胃薬「PPI」でビタミンB12欠乏症になる恐れ―米研究

2年以上の服用で、H2ブロッカーも

 米国の医療保険システム「カイザーパーマネンテ」のJameson R. Lam氏らは、逆流性食道炎などの治療に使われる胃酸の分泌を抑えるタイプの胃薬「PPI(プロトンポンプ阻害薬)」や「H2ブロッカー」を2年以上服用していると、ビタミンB12欠乏症を新たに発症する割合がそれぞれ1.65倍、1.25倍に増えていたと、12月11日発行の米医学誌「JAMA」(2013; 310: 2435-2442)に報告した。ビタミンB12が不足すると、倦怠(けんたい)感や目まい、動悸(どうき)・息切れ、手足のしびれ、疲れやすいなどの症状が現れる悪性貧血(巨赤芽球性貧血)のほか、脳や神経に悪影響を及ぼして認知症になる可能性が高まるとされている。これまでの研究で、PPIやH2ブロッカーを服用しているとビタミンB12を吸収しづらくなることが示唆されていた。

服用中止で影響は徐々に弱まる

 Lam氏らは、カイザーパーマネンテの北カリフォルニア支部のうち、18歳以上で1997~2011年にビタミンB12欠乏症と新規に診断された人(症例グループ、2万5,956人、女性57.4%、60歳以上67.2%)と、性別や地域、人種、出生年、登録期間が一致した人(対照グループ、18万4,199人)をランダムに選び出し、比較した。

 その結果、PPIを2年以上の服用している人では、ビタミンB12欠乏症と新たに診断されるリスクが1.65倍と高く、H2ブロッカーでも1.25倍だった。

 PPIを服用する量では、最も多い1日1.5錠で1.95倍とさらにリスクが高まったが、1日0.75錠未満でも1.63倍だった。

 なお、両薬ともに2年以上服用している場合、服用期間がより長くなってもリスクは変わらなかった。また、PPIを最後に服用したのが1年以内でビタミンB12欠乏症リスクが1.80倍だったのに対し、2~2.9年前では1.43倍、3年以上前では1.38倍と、服用をやめると影響は徐々に弱まることが分かった。

若者、女性で影響強い

 ビタミンB12欠乏症は通常、高齢者で多く見られる。今回の研究で年齢を考慮したところ、加齢とともにPPIの服用とビタミンB12欠乏症になるリスクとの関係は弱まったが、30歳未満で8.12倍と飛び抜けて高く、性別では女性の方がリスクが高かった(女性1.84倍、男性1.43倍)。

 Lam氏らは「今回の結果は、胃酸を抑えるタイプの薬が効く患者に服用しないよう勧めるものではない。しかし、医師は慎重に判断し、有効性が得られる最低量を用いるべきだ」と指摘している。

(編集部)

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