2014年01月10日 06:00 公開

意外と知られていない喘息の悪化要因

肥満、ストレス、風邪薬にも注意

たばこの臭いも喘息の悪化要因
たばこの臭いも喘息の悪化要因

 喘息(ぜんそく)は、健康な人から見ると、「えーっ、そんなことで悪化するの?」という引き金が多い。喫煙者の人の衣服に付いたたばこの臭いで呼吸困難になることもあれば、げっぷが多くて胸焼けすると思っていたら、胃酸の逆流で喘息が悪化していたということもある。そこで、新百合ヶ丘石田クリニックの石田一雄院長に、意外と知られていない喘息の注意事項について聞いた。肥満やストレス、風邪薬などにも注意が必要だという。

鼻や胃の症状も喘息の引き金に

 喘息の人は、鼻水、鼻詰まりなどの鼻症状にも気を付けたい。人間の体の中で、鼻の穴と気管支はつながった一つの空気の通り道(気道)であり、最近の研究では、鼻と気管支のどちらかに症状があると、もう一方にも症状が出て悪化してしまう可能性があることが報告されているからだ。

「鼻風邪や花粉症、副鼻腔(くう)炎などは、同じ気道の病気として一緒に治療しなくては、なかなか喘息も回復しないのです」(石田院長)

 一方、胃酸が逆流しげっぷや胸焼けなどの症状が出る逆流性食道炎も、喘息の引き金となり、症状を悪化させる。こうした消化器の病気にも適切に対処しなければ、喘息発作をコントロールすることは難しい。

心身のストレス・肥満も大敵

 身体的・精神的ストレスでも喘息はひどくなる。なるべく疲れをためないよう、過労や睡眠不足など体の負担になることは避け、つらいことがあったら運動やカラオケで発散するなど、ストレスをうまく受け流す自分なりの工夫も大切だ。

また、肥満は喘息を悪化させてしまうため、体重のコントロールも重要になる。肥満細胞からは、喘息の原因となる気道の炎症を促す物質が分泌されるといわれている。「実際、重症の喘息患者さんには肥満が多いのです」(石田院長)。喘息の管理には、生活習慣の管理も欠かせないのだ。

喫煙者の衣服のにおいで発作が誘発することも

 たばこやアルコールが喘息によくないことは周知の事実だが,「喘息ならやめた方がよいということは、まだまだ十分に理解されていません」(石田院長)。喘息の人は、たばこに対する化学物質過敏症という一面がある場合も多く、自分ではなく他の人の吸った副流煙も吸わないように注意したい。

 喫煙者の衣服に付いたたばこのにおいで発作が誘発されることもある。また、日本人の喘息患者の約半数はアルコールを飲むと喘息が悪化する「アルコール誘発喘息」を起こすことも覚えておきたい。

痛み止めは貼り薬にも注意して

 整形外科や歯科などで、痛み止めとしてよく処方される「ロキソニン」や「ボルタレン」、「アスピリン」などの非ステロイド抗炎症薬も、喘息があれば服用しない方がよい。今まで何事もなく服用していたにもかかわらず、ある日突然、これらの薬で喘息発作が起こる場合があるのだ。死に至る重篤な発作も報告されている。

 「今のところ、100%確実に、非ステロイド抗炎症薬服用の危険を予測することは不可能なため、喘息のある人は、こうした薬の服用は避けておくべきです」(石田院長)。飲み薬だけでなく、患部に貼るタイプ(湿布薬)もあるので注意したい。

 以前は安全だと言われていたが、最近では、風邪をひいたときによく処方される鎮痛・解熱薬のアセトアミノフェン(商品名「ピリナジン」「カロナール」など)でも喘息を誘発する恐れがあることが分かってきた。市販の風邪薬にも含まれているので、自分で安易に購入して飲まないよう、どんな成分を使っているのか確認することも重要だ。

 国内では、現在でも毎年約2,000人が喘息発作により死亡している。喘息発作は日常の細かなコンディションが複雑に作用して起きるため,リスクは一つでも多く排除しておきたい。「ぜいぜい息が鳴り、いつも苦しそうにしている、そんな誰にでも分かりやすい重症患者さんはたった一握りです。大抵の患者さんは見た目には喘息とは分からないですから,診断されたら周りの人にも積極的に理解を求めましょう」と石田院長はアドバイスしている。

(山口 茜)

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