2014年01月17日 06:00 公開

救命率は従来法の2倍! 心停止後の低体温療法

体温を34度に保つ

 急性心筋梗塞を起こして心臓が停止しても、心臓マッサージとAED(自動体外式除細動器)で一命を取り留めることができる。さらに、低体温療法によって高い確率で回復が可能になるという。

体を冷やすことで細胞を保護

 駿河台日本大学病院(東京都)循環器科の長尾建部長によると、国内では、毎年およそ11万人が病院以外の場所で心停止を起こしている。その半数以上は心臓病だ。運よく病院に搬送されて病気が治っても、仕事や家事ができるようになるのはわずか5~6%と低い。

 心停止から蘇生した患者が社会復帰を果たせるようにする治療法が、長尾部長らが20年前から取り組んできた低体温療法だ。「体を冷やすことで、細胞の代謝や生体に悪さをする物質が作り出されるのを抑えて細胞を保護します」と長尾部長。

 低体温療法はできるだけ短時間に体を冷やす必要がある。体を冷やすには、体の表面を冷やすやり方と血液を冷やすやり方の2通りがある。

8割が社会復帰可能

 同病院では、蘇生して搬送されてきた患者には、4度に冷やした生理食塩水2リットルを静脈に注入しながら、心臓に酸素と栄養を送る役目をしている冠動脈の血流の状態を調べる。心筋梗塞などで血管がふさがっている場合は、血管内の血液の塊を溶かす薬や、閉塞(へいそく)部で小さな風船を膨らませて血管内部を広げ、ステント(網状の筒)を留置する処置が行われる。

 その後、血液を直接冷やす方法で1~3日間体温を34度に保つ。この一連の治療によって8割が社会復帰できるまでに回復する可能性があるという。心停止の状態で搬送された場合でも、同様の処置で2割が回復可能だ。

 「低体温療法によって従来の治療法より2倍以上の患者さんの命が助かるようになりました」と長尾部長。

 心停止が起きた場合、一刻も早い蘇生が重要になる。「全ては時間との勝負です。一般の人でも救急車の到着を待つ間、心臓マッサージをしてAEDで蘇生したら、すぐ氷などで体を冷やすことです。冷やす場所は、血管が体表近くにある首などが効果的です」と長尾部長は話している。

(編集部)

2012年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)