2014年01月22日 10:30 公開

低用量ピルの副作用、海外当局はどのように対応?

豪保健省は2011年に安全情報を発表
豪保健省は2011年に安全情報を発表

 生理痛(月経困難症)の治療薬である低用量ピル「ヤーズ配合錠」(一般名ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠)の副作用と見られる血栓症で3人の死亡が発表されたが(関連記事)、日本に比べて低用量ピルが普及している海外の当局は、副作用についてどんな対応をしているのか。米国、カナダ、オーストラリアでの状況について調べた。

豪・カナダでは2011年に国民へ声明

 国内で3人の死亡との関連が疑われているヤーズをはじめ、避妊や月経周期の調節に使われている低用量ピルは、血栓症を引き起こす危険性が指摘されている。血栓症とは血管の中に血栓(血の塊)が作られ、血管を傷つけたり詰らせたりする病気。いわゆる「エコノミークラス症候群」と呼ばれる静脈血栓塞栓(そくせん)症もその一つだ。

 ヤーズと血栓症の関係は、2011年に英医学誌「BMJ」(2011; 342: d21392011; 342: d2151)に発表された研究結果で明らかになっている。この報告を受け、オーストラリアやカナダの保健当局は同年、国民向けに声明を発表した。

 声明では、いずれの報告も関連する要素についての情報が十分でないなど多くの限界があるとしつつ、全ての低用量ピルがわずかながら静脈血栓塞栓症になるリスクを上げ、リスクは年齢や家族でこの病気にかかった人がいる、体重や喫煙などの影響を受けると説明。低用量ピルを服用している人に対し、自己判断で服用を中止せず、不安があれば処方した医師に相談することを推奨している。

米国では妊娠・出産時のリスクと比較

 2012年により具体的な情報提供を行っているのは、米国の規制当局である食品医薬品局(FDA)。低用量ピルを含む経口避妊薬を使っている女性の血栓症リスクについて、妊娠や同薬使用の有無、出産時との比較を提示し、「低用量ピルによって血栓症リスクは高まるが、妊娠時や出産後に比べると依然として低い」と説明している。FDAでは「BMJ」に発表された2件の研究結果を受け、ヤーズの血栓症リスクに関する記載を添付文書に追加している。

日本の対応は?

 国内でも、2006年に日本産科婦人科学会など6学会が「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン改訂版」を発行し、低用量ピルの適正な使用と副作用による健康被害を未然に防ぐための方針を記載。その中で、血栓などに関する症状や病態として次のような例を挙げている。

服用を中止すべき症状/疑われる疾患

  • 片側または両側の下肢(ことに"ふくらはぎ")の痛みと浮腫/血栓性静脈炎
  • 胸痛、胸内苦悶、左腕、頸部(けいぶ)等の激痛/心筋梗塞
  • 突然の激しい頭痛、持続性の頭痛(片頭痛)、失神、片麻痺(まひ)、言語のもつれ、意識障害/出血性・血栓性脳卒中
  • 呼吸困難(突然の息切れ)、胸痛、喀血/肺塞栓
  • 視野の消失、眼瞼(がんけん)下垂、二重視、乳頭浮腫/網膜動脈血栓症
  • 体を動かせない状態、顕著な血圧上昇が見られた場合など/静脈血栓症への注意
  • (日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン改訂版」より)

 このほか、国内でヤーズを販売するバイエル薬品が、服用中に血栓症が疑われる症状が発生した場合、医療機関を受診した時に患者や家族がヤーズを服用中である旨を医師に伝えられるよう携帯カードを配布している。

(編集部)

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