2014年05月22日 06:00 公開

土いじりに気を付けて! 傷口から菌侵入する破傷風

命に関わることも

 破傷風は今では珍しい病気だが、かかれば命に関わることもある怖い感染症の一つ。破傷風菌は土の中を好むため、特に土いじりなどをしているときのケガには注意が必要だ。がん・感染症センター都立駒込病院(東京都)感染症科の菅沼明彦医長は、土に触れる機会が多い人は予防接種を受けるよう勧めている。

まず口が開きにくくなる

 破傷風は破傷風菌に感染して発症する。破傷風菌は酸素が少ない土の中に生息している細菌で、全国どこにでもいる。傷ついた手で土をいじったり、スポーツをして転んだり、古くぎが刺さったりして傷口から侵入して感染する。

 菅沼医長は「感染すると通常、3~21日の潜伏期を経て症状が表れます」と説明する。

 症状は特徴的だ。まず口が開きにくくなる。歯がかみ合わされた状態になり、話をしたり、物を食べたりしにくくなるほか、首筋が突っ張るなどする。さらに、顔面の筋肉がこわばって、引きつり笑いのような表情になる。やがて、痙攣(けいれん)が起こり、全身が弓なりに反り返るようになる。

人から人には感染しない

 菌が発する毒素は体内でしぶとく残って、症状は数週間以上続くことが多いが、人から人には感染しない。

 治療は、破傷風菌を減らすために傷口をきれいにした上で、抗生物質を使う。また、さまざまな症状は破傷風菌が出す毒素が原因であるため、毒素を中和する破傷風免疫グロブリンを注射する。進行すると集中治療が必要になることがある。

ワクチンの効き目は約10年

 国内の破傷風患者は、1950年頃は年間2,000人近かったが、その後、1968年に三種混合ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)による定期予防接種が開始されてから減少し、近年は年間100人ほどとなっている。

 しかし、災害時には破傷風に感染しやすく、国立感染症研究所の調べによると、東日本大震災では一時期に10人以上が発病している。ほとんどが50歳代以上で、三種混合ワクチンの接種を受けていない世代だった。

 「破傷風にかかっても免疫はできないため、破傷風トキソイド(ワクチン)の接種も大切。ただし、ワクチンが効くのは約10年間です。最後に接種してから10年が経過した人や、予防接種を受けていない人で、屋外で活動することが多く土に直接触れるような機会がある場合は、接種を勧めます」と菅沼医長は話している。

(編集部)

2013年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)