2014年05月23日 06:00 公開

いじめの後遺症―うつ病や対人恐怖、心に影響

家庭生活が解決のカギ

 学校などでいじめを受けた子供は、うつ病や対人恐怖症など、精神的な後遺症を残すことが多い。また、大人になっても引きずるケースもみられる。いじめの問題点と対応について、東京都立小児総合医療センターの田中哲・副院長(児童思春期精神医学)に聞いた。

いじめ起こるメカニズムの理解を

 いじめによる精神的なストレス反応は、すぐに出るケースと徐々に負担になるケースがあるが、多いのは後者。慢性化してからの心の問題だ。

 「うつ病になって不登校になる、生きていても仕方がないと自殺に走る、対人恐怖になる、いじめられる夢を見て不眠になる、といったケースが見られます。逆に力関係を学んで暴力的になり、いじめる側に回ることもあります」(田中副院長)

 こうした問題だけでなく、大人になった後も自分に価値があると思えなくなることもある。いじめそのものをなくすのは難しい面もあり、まず、いじめが起こるメカニズムを理解することが欠かせない。

 「いじめは、他の子供と違う、目立つといったことがきっかけになります。また、それを止めに入らないで傍観する風潮が増加につながっています」(田中副院長)

両親の愛情が大切

 背景には、力関係の原理が働いているという。「強いか弱いかという画一的な価値判断が、いじめを助長しているといえます。これは、基本的な人間関係ができていない大人の問題が子供に反映しているとも考えられます」(田中院長)

 いじめの問題解決は学校に任せるだけでなく、子供に一番身近な家庭生活から見直すのが第一歩。

 「人間は不安が強くなると、異質なものを受け入れにくくなります。両親は愛情と余裕を持って子育てをするのが第一です。子供は両親に愛され、認められると、安心して自分を肯定でき、不安に陥りにくくなり、自立できるのです」(田中院長)

 いじめられる子供もいじめる子供も表裏は一体。田中副院長は、どちらも生み出さないためには、子供に対する両親の愛情が大切になると指摘している。

(編集部)

2013年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)