2014年06月09日 06:00 公開

B型肝炎ウイルス、保有者はがんやリウマチ治療に注意

劇症肝炎移行の恐れも

 B型肝炎ウイルス(HBV)の保有者(キャリアー)は全国に約150万人いるといわれる。多くは自然に治るが、最近はがんの化学療法やリウマチの免疫抑制薬を使うことで、沈静化していたB型肝炎が再発して劇症肝炎へ移行することが問題視されている。東京医科大学八王子医療センター・リウマチ性疾患治療センターの岡寛教授に聞いた。

死亡するケースも

 岡教授によると、40歳以上の日本人の1%超がHBVのキャリアーだという。「そのうち約10%は肝炎、肝硬変、肝細胞がんに進行しますが、約90%は自然に治っています。ただし近年、一度沈静化しても、がんの化学療法やリウマチなどの免疫抑制薬を使うことで劇症化し、死亡するケースがあることが分かってきたのです」

 HBVのキャリアーかどうかは、通常、血液検査で分かる。血液検査ではHBs抗原とHBs抗体を調べる。抗原が陰性ならばキャリアーでなく、抗体が陽性ならば過去にHBVに感染し、その後に治ったと判定される。

 しかし、HBs抗体が陽性の人で、実際にはウイルスが肝臓内に閉じ込められていて血液中には出ていないケースがある。これらの人たちが、抗がん薬や免疫抑制薬を使用して劇症化に結び付いているという。

精密検査受けて

 最悪の事態を予防するには、がんの化学療法やリウマチなどで免疫抑制薬を用いる場合は、事前にHBVのキャリアーかどうかの精密検査を受けた方がよい。

 「血液中のHBs抗体を測定できる検査で抗体を測定してもらうとともに、血液中のHBVの遺伝子(DNA)の有無を調べてもらうとよいでしょう。精密に検査すると、日本人の約5%以上はHBVのキャリアーだと推定されています」(岡教授)

 HBVのキャリアーと分かれば、抗がん薬や免疫抑制薬の治療を受ける前にHBV抗ウイルス薬を使う。岡教授は「エンテカビルという抗ウイルス薬の内服が有効です。この薬は強力にウイルスの増殖を抑える働きがあり、副作用も軽度です」と説明する。

 B型肝炎は発症すると注意して治療に取り組むが、むしろ発症しないケースが多いことを念頭に置き、適切な対応が求められている。

(編集部)