2014年06月25日 10:30 公開

世界で3人に1人が肥満、人口の9割が肥満だった国は?

国際共同研究

 世界的に肥満が増加しており、2013年現在で3人に1人が肥満との調査結果が、東京大学大学院医学系研究科の渋谷健司教授(国際保健政策学)ら日本の研究者も参加した国際共同研究「GBD研究2013」で分かった。肥満の増加は大人だけでなく子供でも著しく、その傾向は特に先進国で強かったという。しかし、大人も子供も肥満率トップ5は、ポリネシアやミクロネシアなどの太平洋に浮かぶ島々が中心。最も高かった国の肥満率は9割近くにも上った。日本の肥満率は低く、特に大人の女性はアジアの中でも大幅に低い数値だった。詳細は、5月29日発行の英医学誌「Lancet」(電子版)に掲載されている。

33年間で8.5億人から21億人に

 GBD研究2013には、世界から100人を超える研究者が参加し、日本からは渋谷教授のほか、国立国際医療センターの後藤温氏、国立健康・栄養研究所の池田奈由氏、国立循環器病センターの小久保喜弘医長らが名を連ねている。

 各国の身長、体重のデータを含む調査や報告、論文などから、世界188カ国のBMI(肥満指数)25以上の肥満の割合を推定した結果、世界の肥満人口は、1980年の8億5,700万人から2013年には21億人へと大幅に増加。肥満率は20歳以上の男性で28.8%から36.9%に、女性では29.8%から38.0%に上昇していた。

 世界の肥満率は特に1992年から2002年にかけて急激に上昇したが、それ以降は緩やかになり、その傾向は先進国でより強かった。肥満率のピークは、先進国の男性で55歳前後(66%が肥満)、女性では60歳前後(64%が肥満)。発展途上国のピークも同様だったが、より低い値だった。

 一方、子供(20歳未満)の肥満率も1980年から2013年にかけて上昇していた。その傾向は特に先進国で顕著で、男児では16.9%から23.8%に、女児では16.2%から22.6%に増加。発展途上国ではそれぞれ8.1%から12.9%、8.4%から13.4%だった。

日本人は特に女性で肥満率低い

 国別に見ると、トップ5と主な国の肥満率は以下の通り。カッコ内は世界保健機関(WHO)などの基準での肥満(BMI 30以上=日本の基準で「肥満2度」以上)の割合。大人では男女ともにトンガが1位で、女性の肥満率は88.3%にも上った。20歳未満の子供は男女ともにキリバスが1位、女児ではミクロネシア連邦、トンガ、サモアとともに半数以上が肥満だった。

 日本の肥満率は、世界的に見て少ない東アジア諸国・地域の中でもさらに少なく、特に女性で大幅に低かった。東アジアの中では大人の男性のみ韓国がトップの肥満率で、それ以外は台湾が1位となっている。

 肥満の人数に関しては米国、中国、インドなどで多く、これにロシア、ブラジル、メキシコ、エジプト、ドイツ、パキスタン、インドネシアを加えた10カ国が、世界の肥満2度以上の人(6億7,100億人)の半数を占めていたという。

 この解析結果について、報告者の一人である米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のMarie Ng氏は「世界で肥満が増加したという点だけでなく、過去33年間に肥満率を下げることに成功した国はないという事実にも目を向けるべき」と指摘。また、「発展途上国でも摂取カロリーの増加、運動不足、食品メーカーの積極的な広告展開など、肥満を生む環境が着々と"整備"されつつある。今こそ強力なリーダーシップの下で世界規模での対策を早急に講じることが必要だ」との見解を示している。

(編集部)

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