2014年07月04日 10:30 公開

恐ろしい寄生虫トップ10―国連機関発表

食品から感染するランキング

1位に選ばれた有鉤条虫。脳に寄生された場合、致死率は60~90%ともいわれている
1位に選ばれた有鉤条虫。脳に寄生された場合、致死率は60~90%ともいわれている

 国連機関である国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は7月1日、食品から感染する寄生虫(寄生生物)のうち、世界的な脅威の恐れがあるトップ10を発表した。上位には、幼虫が脳や目玉などにも移動して寄生する有鉤(ゆうこう)条虫をはじめ、深刻な肝臓障害をもたらすエキノコックス、妊婦が感染するとおなかの赤ちゃんに重く影響するトキソプラズマなどが選ばれている。

21人の専門家が選定

 このトップ10は、日本を含む世界23カ国・地域の報告から、21人の専門家によって選定されたもの。食品から人に感染する93種類の寄生生物を、(1)世界の感染者数、(2)世界的な分布度、(3)急性的な症状、(4)慢性的な症状、(5)経済的な影響―などのさまざまな面から評価し、最終的に10種類に絞り込まれた。

 トップ10に選ばれた食品由来の寄生生物は以下の通り。

1位 有鉤条虫
......成虫は腸に寄生するが、幼虫の有鉤嚢(のう)虫は血流に侵入して体中へ移動し、脳や目玉などに寄生することも。感染源の食品は、調理が不十分な豚肉、生水など。輸入キムチが原因とされた症例も報告されている。

2位 単包条虫(エキノコックス)
......単包性エキノコックス症(単包虫症)を引き起こし、肝臓や肺などに障害をもたらす。感染源の食品は、イヌなどのふんに汚染された食べ物や水。

3位 多包条虫(エキノコックス)
......多包性エキノコックス症(多包虫症)を引き起こし、寄生場所の肝臓などに深刻な障害をもたらす。潜伏期間が5~15年と長く、治療しなければ進行して死亡することも。感染源の食品は、イヌやキタキツネのふんに汚染された食べ物や水。

4位 トキソプラズマ
......多くが無症状だが、発熱から視力障害までの症状を起こす。妊婦が感染すると胎児にも感染し、流産や水頭症などの先天異常が見られることも。感染源の食品は、調理が不十分な肉(哺乳類、鳥類)。土いじりやネコとの接触などでうつる場合もある。

5位 クリプトスポリジウム
......症状は下痢や腹痛、だるさなど。感染源の食品は、感染動物のふん便に汚染された食べ物や水。欧米などでは水道水による大規模な集団感染も。

6位 赤痢アメーバ
......下痢や血便、腹痛が出るアメーバ赤痢を引き起こす。赤痢菌が原因の赤痢とは別のもの。感染源の食品は、感染動物のふん便に汚染された食べ物や水。性行為で感染する場合も。

7位 旋毛虫
......旋毛虫症の症状は下痢や腹痛、目の周りのむくみ、呼吸困難などで、心臓の筋肉まで侵食されると心臓の機能が低下して死亡することも。感染源の食品は、調理が不十分な豚、馬、鹿、熊の肉。ソーセージなど。

8位 後睾吸虫科(肝吸虫やタイ肝吸虫など)
......肝吸虫は、寄生場所の胆管から肝臓をむしばむ肝吸虫症(肝ジストマ症)を引き起こし、進行すると肝硬変になることも。明治~昭和に活躍した芸術家、北大路魯山人が感染し、死亡したことでも有名。感染源の食品は、調理が不十分な淡水魚など。

9位 回虫
......栄養障害、腹痛などの症状が見られるほか、体の器官に穴を開けて他の器官に侵入し、脳に至ることも。感染源の食品は、感染動物のふん便に汚染された食べ物や水。

10位 クルーズトリパノソーマ
......最悪の場合、心臓が破裂するシャーガス病を引き起こす。感染源の食品は、吸血昆虫サシガメのふんに汚染された食べ物や水。輸血や臓器移植などでも感染も報告されている。また、サシガメは吸血後、その周辺にふんをするため、無意識に触って刺し傷から感染することも。

(編集部)

更新履歴:7月7日、トップ10一覧のうち有鉤条虫、単包条虫、多包条虫、後睾吸虫科の説明の一部を変更しました。

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