2014年07月31日 06:00 公開

頭打った1~2カ月後に発症する「慢性硬膜下血腫」

認知症に似た記憶障害出る

 頭蓋骨の下に血がたまって脳が圧迫されることで、認知症に似た記憶障害などさまざまな症状が表れる慢性硬膜下血腫。脳出血の一種で、頭を打った1~2カ月後に発症することもあるという。東京医科大学病院脳神経外科の三木保教授は「外科手術で治ります。少し前に頭を打ったことがある人は注意を」と助言している(関連記事:ヘッドバンギングで脳出血、ヘビメタのライブ後に発症)。

若者では頭痛や吐き気が初期症状

 脳は外側から硬膜、くも膜、軟膜という3つの膜に覆われているが、慢性硬膜下血腫は硬膜の下で、くも膜との間に血腫(血がたまっている状態)ができたために症状が表れる。

 血腫の原因は頭の外傷、つまりケガだ。家の中の柱に頭をぶつけたなど、ちょっとした打撲もきっかけになる。その時は大した症状がなくても、実は、脳の小さな血管が破れていて徐々に慢性的に出血し、膜で覆われた血腫が作られていくことがある。3週間以上たって、血腫がある程度以上大きくなると、脳を圧迫して症状が表れ始める。

 若い人では主に頭痛や吐き気があり、加えて手足の麻痺(まひ)や言語障害が起こる。高齢者では、頭痛・吐き気は少なく、血腫の位置によって記憶障害、認知障害、失禁、手足の麻痺などが表れる。

脳梗塞や物忘れとの誤診も

 治療は穿(せん)頭血腫洗浄術という手術が一般的。頭蓋骨に一円玉大の穴を開け、血腫を排出する手術で、局所麻酔で30分~1時間で済む。手術後すぐに頭痛や麻痺、認知障害などの症状は消える。再発が約1割にあるが、同じ手術で対応できるという。

 脳梗塞や年相応の物忘れと誤診され、手術で治る症状なのに治療しないままでいるケースもある。問診や認知症の検査だけでは発見できないが、CTやMRIの検査によって正しい診断が可能だ。

 危険因子(発症の可能性を高める要素)は、年齢60歳以上、男性、飲酒者の3つ。酒に酔って頭を打つと覚えていないことが多いようだ。ほかに、血液をさらさらにする薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を服用していたり、透析を受けていたりする人なども危険性が高いという。

 三木教授は「3つの危険因子に該当し、急に認知症の症状が始まったら、この病気の可能性があるので、画像診断を受けてください。予防は、転ばないようにすることに尽きます」と助言している。

(編集部)

2013年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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