2014年08月20日 10:30 公開

塩分摂取、少な過ぎても心臓病リスク上昇―国際解析

1日7.6~15.2グラムでリスク最低

 塩分の取り過ぎは高血圧を招き、心臓病や脳卒中などにつながると指摘されている。ところが、減塩し過ぎでも心臓病になる危険性が高まることが、世界17カ国10万人以上を対象にした国際解析で明らかになった。1日7.6~15.2グラムで心臓病や脳卒中になる危険性が最も低かったという。世界保健機関(WHO)が塩分摂取量を1日5グラム未満にするよう推奨するなど、世界的に減塩が勧められているが、今回の結果がどう影響するのか注目される。詳細は、8月14日発行の米医学誌「New England Journal of Medicine」(2014; 371: 612-623)に掲載。なお、日本人の平均塩分摂取量は世界でも多いものの、今回の研究で「リスク最低」とされた範囲内にある(1日10~11グラム)。

減塩推奨めぐって米国では論争も

 1日の塩分摂取量は、WHOで5グラム未満、米国で5.8グラム未満(高血圧患者などで3.8グラム未満)とされているが、この減塩の推奨をめぐっては、2013年に米国医学研究所が「科学的根拠がない」との見解を発表し、米国心臓協会が反論するなど、学術団体同士での論争が起きている(関連記事:減塩の推奨に根拠なし? 米国で論争勃発)。

 たしかに、減塩が血圧を下げるのに有効なことは研究で証明されている一方、高血圧の後ろにある心臓病や脳卒中などになる危険性を減らすことは大規模な研究で証明されていない。それどころか、1日7.6グラム未満では心臓病や脳卒中などになる危険性が高まるとの研究結果もいくつかあるほどだ。

 今回の研究では、2003~09年に世界5大陸のさまざまな所得レベルの17カ国で、都市と農村に住む10万1,945人(42%が中国人)について、尿の中の塩分(ナトリウム)とカリウムの排泄(はいせつ)量から1日の摂取量を推定した。なお、カリウムは体の中から塩分を取り除く作用があるミネラルだ。

1日7.6グラム未満でリスク1.27倍

 1日の平均摂取量は塩分12.5グラム(ナトリウムで4,930ミリグラム)、カリウムが2,120ミリグラム。3.7年間に1,976人が死亡(うち心臓病や脳卒中などによる死亡は650人)、857人で心筋梗塞、261人で心不全、872人で脳卒中を発症した。

 1日の塩分摂取量が10.1~15.2グラムのグループを基準として比べた死亡または心臓病や脳卒中などの心血管病になる危険性は、15.2~17.8グラムのグループで1.14倍、17.8グラム以上のグループで1.21倍だった。一方、7.6グラム未満のグループでも1.27倍と危険度が上がっていた。

 カリウムに関しては、1日1,500ミリグラム未満に比べ、それ以上のグループで死亡または心血管病になる危険性が下がっていた。

低塩分では高血圧以外の要素が影響か

 研究を発表したカナダ・マクマスター大学のMartin O'donnell氏らは、今回の結果について「研究の対象は心血管病にかかったことのない人がほとんどだったが、塩分摂取量が多いグループだけでなく、少ないグループでも死亡や心血管病になるリスクが上がるJ字のカーブが描かれていた」と説明。さらに「塩分摂取量が多いグループでは高血圧の影響が示唆されたが、少ないグループでは血圧の影響を受けなかったため、ほかの原因が関与していると考えられる」とした。

 この結果について、米アラバマ大学バーミンガム校のSuzanne Oparil氏は同誌の論評で、24時間ためた尿や複数回の尿検査で割り出された塩分・カリウム摂取量ではないこと、塩分が少ない食事と普通の食事で分けて血圧や心血管病に及ぼす影響が変わるかを評価していないことなど、研究の欠点を指摘。

 その上で「塩分摂取量が少なくても死亡や心血管病になる危険性が上がる可能性、カリウム摂取量が多いとナトリウム摂取量が多いことによるリスク上昇を打ち消す可能性を、支持する根拠を提供するもの」と評している。

(編集部)

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