2014年08月22日 10:30 公開

【映画】人間の脳が100%使われたらこうなる!? スカヨハが熱演

米映画『LUCY/ルーシー』が8月29日から公開

 人間の脳は、10%しか機能していない―。そんなキャッチコピーの米映画『LUCY/ルーシー』が8月29日から公開される。マフィアの闇取引に巻き込まれた女性ルーシーが、事故をきっかけに次第に脳が "覚醒"していく様子をスリリングかつ大胆に描くアクション・エンターテインメント作品だ。『レオン』や『ニキータ』で力強い女性を主人公にしたヒット作を世に送り出してきたリュック・ベッソン監督の下、ルーシー役をスカーレット・ヨハンソン、彼女を見守る脳科学者ノーマン博士役をモーガン・フリーマン、マフィアのボス役を韓国人俳優チェ・ミンシクがそれぞれ演じている。また、人間の脳とその可能性について、医学博士で脳科学者の中野信子氏にインタビューした。

アクシデントから脳に異変、次第に超能力を発揮

 台湾に留学中のルーシーはある日、台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまう。彼らは、外国人を拉致し、ある物質を詰めた袋を体内に埋め込み、密輸の運び屋としてそれぞれの故郷へ送り込む計画を立てていた。

 運び屋の一人として、下腹部に袋を埋め込まれたルーシーだったが、袋の一部が破れてしまうアクシデントに見舞われる。やがて、体内で漏れ出た物質が彼女の脳に異変をもたらすのだった。

 脳は10%しか機能していないとされる中、ルーシーの脳は次第に覚醒し始める。覚醒率が20%に達するとわずか1時間で外国語を理解するようになり、30%で自らの細胞をコントロールし始め、40%で電波が見えるようにまでなっていく。

 マフィアの密輸を阻止し、自分と同じ犠牲者を出させないため、脳科学の世界的権威ノーマン博士のいるパリに旅立つルーシー。彼女を追い詰めたマフィアのボスが背後で銃口を向ける中、彼女の脳は100%の覚醒へと向かっていく。果たして、その先にあるのは破滅か、それとも...。

脳科学者・中野信子氏インタビュー

――『LUCY/ルーシー』はフィクション映画ですが、キャッチコピーである"人類の脳は10%しか機能していない"というのは本当なのでしょうか。

中野信子氏(以下、中野) そもそも、人間の脳機能のどこまでが100%なのかが明確にされていません。つまり、分母が分かっていない以上、脳全体で使われているのが10%なのか、あるいは80%なのかということは断定できません。従って、普段は使われていないとされる10%という数字は、多くの科学者が推測している数字にすぎないと捉えた方がよいでしょう。

――ルーシーの脳が覚醒していく過程については?

中野 映画の中では、覚醒率20%になると1時間で外国語をマスターし、30%で髪の色や形を変化できる細胞のコントロールができるという設定ですが、その辺りまでは可能性があるかと思います。しかし、それ以上は映画のファンタジックな世界の話なので、純粋にエンターテインメント作品として楽しむことをオススメします。

――ルーシーの脳が100%に覚醒することで人間性を失うとされていますが、仮に現実になったとしたら、本当に人間性は失われると考えますか。

中野 まず、"人間性"をどう評価するかが鍵になると思います。動物が合理的に行動するのに対し、人間は愛情や自己犠牲や信仰心などによって人間は非合理的な行動を取ることがあります。それは、人間は個体としては他の動物より弱いので、仲間と協調することで発展、繁栄してきたためです。つまり、強靱(きょうじん)な個体が誕生すれば、非合理性は必要なくなるわけです。映画の中で描かれるルーシーは自分だけであらゆることができるようになっていくという設定なので、"人間性"を非合理性と考えるならば、ルーシーの行動は理にかなっているといえるかもしれません。

――現実に人間の脳機能をより引き出す方法は?

中野 例えば、うつ病などの治療法として知られる、脳に微弱の電流で刺激を与えるtDCS(経頭蓋直流刺激)やTMS(経頭蓋磁気刺激)を行った患者で絶対音感が備わったり、事故で階段から落ちて頭を打った人が苦手だった数学の難問を解けるようになったり、プールの壁に頭を打ち付けてしまった人が弾けなかったはずの楽器を8種類も弾けるようになったりという報告があります。打った場所は、左側の側頭葉と前頭葉をつなぐ神経線維だったり、右側の側頭葉だったり、いずれもばらばらです。こうした報告について研究はされていますが、再現することは困難ですし、動物実験もできませんので、解明には至っていません。解明できれば、もしかすると受験勉強などに生かせるかもしれませんね。

中野信子(なかののぶこ)
 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。東日本国際大学客員教授、横浜市立大学客員准教授。国際高IQ組織「メンサ」会員。東京大学工学部を卒業後、同大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程、同科脳神経医学専攻博士課程を修了。2010年までフランス原子力庁の研究施設サクレー研究所で研究員を務めた。著書に『脳内麻薬』(幻冬舎)、『東大卒の女性科学者が金持ち脳のなり方全部教えます』(経済界)、『成功する人の妄想の技術』(ベストセラーズ)など。

(取材・文/松浦 庸夫)

映画『LUCY/ルーシー』
2014年8月29日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほかにて全国ロードショー(PG12指定)

監督・脚本/リュック・ベッソン
出演/スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケドほか
原題/「Lucy」
製作年/2014年
製作国/フランス
上映時間/89分
配給/東宝東和
©2014 Universal Pictures

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