2014年09月16日 06:00 公開

増える老人性難聴、補聴器選びのポイントと注意点は?

専門医がアドバイス

<strong>さまざまな形の補聴器</strong>(Thinkstock/Getty Images)
さまざまな形の補聴器(Thinkstock/Getty Images)

 わが国の補聴器出荷台数は2010年以降、右肩上がりで増えており、2013年には年間52万台を突破した※。超高齢社会による老人性難聴、いわゆる"耳の遠い"お年寄りの増加がその背景にある一方、"装着に抵抗感がある""価格が高い"といった壁があり、聞こえの悪さを我慢している人も多いという。補聴器を着ける前には、専門医の診断が勧められる。そこで、耳鼻咽喉科を受診する目安から補聴器選びのポイントや注意点までを、日本耳鼻咽喉科学会専門認定医で、山川耳鼻咽喉科医院(東京都)の山川卓也院長に聞いた。なお、山川院長は同学会から嘱託された補聴器相談医の取りまとめ役として各都道府県に1人ずつ配置されている「補聴器キーパーソン」を長年にわたり務めている。

受診の目安はテレビの音量や話の聞き返し

――補聴器を必要とする症状や病気はどのようなものがありますか?

山川院長(以下、山川) 耳の聞こえが悪い人は全て、補聴器の適応対象者です。具体的には、加齢と共に聞き取りづらくなっていく老人性難聴が圧倒的に多いですが、小児難聴や、大人になってから中耳炎などによって起こる中途難聴があります。

――医療機関を受診する目安は?

山川 老人性難聴でいえば、テレビの音量を大きくするようになったり、電話や対面での会話中に何度も聞き返すようになったりして家族が異変に気づくケースがほとんどです。これは、聴力が徐々に低下していくので本人には自覚があまりないためで、当院でもこうした異変に家族が気づいて受診させることが大半です。また、今はインターネット上で簡易検査を提供しているサイトもありますが、適正な聴覚検査は防音環境の整った場所で専門の医師または臨床検査技師が行うことが定められていますので、専門の医療機関を受診することをお勧めします。

本人が納得することが大切

――補聴器を使い始めるタイミングは?

山川 専門医の立場からすると、初診時の検査で補聴器を着けた方がよいと思われる人ももちろんいますが、補聴器を装着することで煩わしさや閉塞感を感じる人もいるので、まずは患者本人が納得するかどうかが大切です。当院では、補聴器を着けた方がよいと判断した患者に対しては、何回かの診察を通じて、「会話が良く聞き取れるようになる半面、雑音も聞こえてきてしまう」といったメリットとデメリットをきちんと説明するようにしています。

――それでも本人が納得しない場合は?

山川 昔に比べ、現在の補聴器は性能が格段に向上しています。例えば、補聴器を着けていると電話の会話が聞き取りづらいとか、音楽が聞こえづらいといったことがありましたが、今ではスマートフォンと連動してそれぞれの音質に合わせて聞き取りやすく調節できるような補聴器も登場しています。しかし、そうしたことを丁寧に説明しても、補聴器を着けることに抵抗感を持っている人は、特に高齢男性では多いように思います。当院でも、患者本人がどうしても拒否する場合は無理強いしてはいません。

認定補聴器技能者のいる専門店で購入を

――補聴器はどこで購入したらよいですか?

山川 国内で補聴器を販売しているのは主に、補聴器専門店、眼鏡販売店、量販店です。当院では、公益財団法人「テクノエイド協会」認定の補聴器技能者がいる補聴器専門店を紹介しています。なぜなら、補聴器専門店では、認定補聴器技能者による個々の患者の聞こえの状態に合わせた細かい調整や指導、アフターサービスはもとより、購入前に試聴器の貸し出しも行っているからです。決して価格は安くはないので、試聴器で実際の装着感や聞こえの状態をきちんと確かめた上で購入することが非常に重要です。また、一口に補聴器といっても、耳穴形や耳かけ形、ポケット形や骨伝導眼鏡形などさまざまありますので、認定補聴器技能者と相談しながら、患者本人の希望や症状などに合わせて選ぶとよいでしょう。ちなみに、買い換えのタイミングは5年が目安といわれています。

――ネット通販などの安価な機器の性能はどうですか?

山川 補聴器は安ければ数万円、高価な機器では100万円以上します。そう簡単に購入できるような価格ではないので、家族がインターネット通販などで安価な機器を購入してプレゼントすることも多いようです。しかし、こうしたケースでは、患者本人の症状に合わせていないため、症状の悪化にもつながりかねません。さらに、電池の消耗が早い機器もあり、かえって電池代がかさんでしまうこともありますから、専門医で紹介された専門店で購入することをお勧めします。

(取材・文/松浦 庸夫)

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