2014年10月10日 06:00 公開

顎の骨にできる腫瘍、がんになることも

自覚症状ない

<strong>顎骨腫瘍の一例(中川講師提供)</strong>
顎骨腫瘍の一例(中川講師提供)

 自覚症状のない病気は見逃しやすいが、顎の骨の中にできる顎(がく)骨腫瘍はその一つだ。腫瘍が小さいうちは全く症状がなく、大きくなっても顎が腫れてくる程度。そのほとんどは良性だが、中には悪性(がん)になるケースもあるだけに、無症状だからといって軽る見ない方がよいだろう。鶴見大学(横浜市)歯学部口腔外科の中川洋一講師に聞いた。

進行すると顎の腫れが2センチに

 口の中にできる腫瘍は歯原性と非歯原性、つまり歯茎を含む顎の中にできるものとそれ以外のところにできるものに分かれる。顎骨腫瘍は歯原性腫瘍の一つで、口の中にできる腫瘍の約10%占める。ほとんどがエナメル上皮腫、角化嚢胞(のうほう)性歯原性腫瘍、歯牙腫といった良性腫瘍だが、悪性腫瘍の歯肉がんになるケースもあるという

 中川講師は「顎骨腫瘍には、顎の骨に生じる腫瘍や歯茎から生じるタイプ、骨の中に袋状にできるケースなど、いろいろなタイプがあります。明らかな原因は分かっていませんが、ほとんどが歯を作る元の細胞から生じています」と説明する。

 いずれのタイプでも、初期には症状がない。このため、虫歯や歯周病で歯科を受診した際、レントゲン検査で発見されるケースが圧倒的に多い。

 「腫瘍は下顎の大臼歯(だいきゅうし=上下左右の後ろ3本の歯)辺りにできるケースが多いのですが、年単位でゆっくりと進行します。2センチ以上になると顎が腫れる、周りの歯が傾いてかみ合わせにも影響するなどします」(中川講師)

退院後のケアも大切

 問題は、中には悪性のケースがある点だ。中川講師は「ほとんどは良性ですが、歯科のレントゲン検査で偶然発見されたときはもちろん、顎が腫れてかみ合わせが悪くなったと自覚したときには、口腔外科を受診すべきです」と勧める。

 診断はレントゲン検査とCT検査で行われ、良性か悪性かの鑑別(見分け)は、歯茎を切開して腫瘍の一部を採取する生検が実施される。

 治療は、手術で腫瘍を切除するが、腫瘍が大きいと骨の移植が必要なケースもある。そのため、いち早く腫瘍に気づき早期の段階で処置した方がよい。

 入院は7~10日程度で、退院後のケアも重要だ。中川講師は「良性でも再発しやすいタイプがあるので、経過観察が必要です。退院後3~6カ月に1度はレントゲン検査を受けてください」と助言する。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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