2014年10月30日 10:30 公開

子供の骨折で後遺症、成長が進むにつれ変形

両脚の長さに違いも

Thinkstock/Getty Images
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 交通事故やスポーツなどで骨折した子供で、治療終了から半年以上が経過して表れる後遺症(後遺障害)が問題になっている。膝や手首が成長につれて変形するなど、日常生活に生じる支障や精神的な苦痛が大きい。星ケ丘厚生年金病院(大阪府枚方市)整形外科の中瀬尚長部長に聞いた。 

骨の成長を止める

 「骨の成長を担う骨端線(こつたんせん)の損傷によるものです。子供の時に、関節の近くを骨折すると2~6割近い確率で後遺障害を生じる危険があります。受傷後の定期的な検査が必要です」と、中瀬部長は警鐘を鳴らす。

 骨端線は、大腿(だいたい)骨や腕の骨など、長い骨の両端にある成長軟骨のこと。男子で15~16歳、女子では12~13歳まで、骨はこの柔らかい線状の所で伸びていく。損傷すると、その部分に骨の成長を邪魔する骨橋と呼ばれる硬い骨の柱ができて成長が止まる。

 例えば、膝の内側に近い部分が損傷すると、骨の内側は伸びず外側だけが成長する。このため、骨は湾曲して伸び、O(オー)脚のように変形する。手首は親指側に曲がることが多いという。

2年後に変形

 交通事故で8歳の時に右の太ももを骨折した男の子の場合、2年後に左膝に痛みと変形が表れ、両脚の長さに差が生じ始めた。X(エックス)線撮影をすると、大腿骨の膝の部分にある骨端線に骨橋ができて、それが原因で骨が湾曲。脚の長さに影響を及ぼしていることが分かった。

 「事故の時には左膝の痛みも訴えていましたが、X線撮影では異常を認めず経過観察となったようです。当病院を受診した時にはすでに、高度の変形が生じていました」(中瀬部長)

 中瀬部長は「骨折に目を奪われやすいですが、子供の場合、重症度にかかわらず、骨の『端』つまり、膝や足首、手首などの大きな関節の周辺を痛がる、あるいは腫れていれば、骨端線の損傷を疑い、MRI検査を受ける必要があります。骨橋を早期に見つけて取り除くことが後遺障害の予防になります」と指摘する。

 骨橋は、受傷後半年程度で表れるが、1年以上経過してからのこともある。治療後2年くらいまでは、3カ月に1度、検査を受けるのが望ましいという。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)