岩田稔投手 1型糖尿病との闘い(3)自然体

2015年02月02日 06:00 公開

岩田稔投手 1型糖尿病との闘い(3)自然体

3:自然体

――1型糖尿病の認知度はまだまだ低い?

 そうですね。同じ1型糖尿病の子供たちと話すと、やっぱり隠れて注射を打ちに行ったり、血糖値測りに行ったりする子が多いみたいなんです。最初は僕もそうしていたんですよ。

岩田稔 投手

 普通の高校生だった時に病気になったんで、例えば、弁当を食べるためには、その前の授業中に注射を打ちにトイレ行かなあかんということになってしまう。

 でも、だんだんとそういうのが面倒くさくなってきて、もういいや、と思ってみんなの前で注射を打ち始めたんです。最初は周りもびっくりしていたけど、「これせな死ぬねん」なんて説明して(笑)。気にしてもしょうがないというか、周りの目よりも自分がどう過ごすのが楽かと考えました。それからはもう大学行ってもプロに行っても友達や家族と飯行っても同じです。外でも、どこでも打っていますよ。

 この病気だったらインスリン注射打つのは、当たり前の事なんで...命に関わる話ですから。隠したら、隠しただけまたストレスになりますし。何か後ろめたい思いで隠していた、そういう時期もあったから余計そう思いますね。普通に過ごしたらかえって、病気のことも伝わるんだなって感じています。

――それでも、それまでの生活を変えないといけない部分もありますよね?

 この病気は、僕のように高校生でも、最近は20歳過ぎてからでもなる人はいるんです。社会人になってからとかだとキツイと思うかもしれません。でも、やり方は色々あるんです。

 飲みに行くのが好きやったら、食べる量を減らすとかインスリンの量を調節するとか、なんぼでも対策できるんです。僕もお酒を飲みますよ、普通に。みんなでご飯行ったり、家で嫁さんと飲んだりもしています。

 自分が気を付けているのは、血糖値を常に安定させるってことですね。もちろん、インスリン注射の上限はありますけど、注射して血糖値が安定するんやったら自分の体も楽だし、ゆくゆくも合併症とかも出にくいと聞いていますから。

――緊張感の高い仕事なので実際には血糖コントロールが難しくないですか?

 登板した試合の後は血糖値が高いと思いますよ。緊張してアドレナリンがどっと出て高血糖になったり、後で下がると低血糖になったりします。血糖値が高いとしんどいんで注射で補正して、下がり過ぎたなと思ったらゼリーを食べたり、ブドウ糖を取ったりして対応しますね。

――試合中にしんどいと思ったことは?

 ありますけど、汗かいて脚がつることのないようにドリンクをマメに飲むとかで対応します。あまりに高過ぎてしんどい時にはインスリン打ちますけど、ほとんどないですよ。滅多にない。

 2014年は侍ジャパンに参加させてもらって、日本代表だなんて日の丸を背負っちゃって、緊張度もすごいのかなと思ったから血糖値を測ってみたんです。でも、全然高くなかった(笑)。(マウンドの緊張感に)慣れたんかなあと思いました。

岩田稔 投手

――治療や生活の工夫は?

 毎日の注射と月に1回、診察のために病院に行って...後はスポーツ選手なんで、運動しているシーズン中とオフシーズンの血糖値の上限がすごく変わってくるのでそこは気を付けないといけない。運動量が減るオフの間は食べ過ぎないように気を付けています。

――ご家族の支えも重要ですね?

 そうですね。すごく支えにはなってくれています。嫁さんは栄養面でも支えてくれているんですよ。栄養士の資格も持っているんで。もともと小中学校の同級生だったんですが、大学の時に再会して、その時はもう病気になっていたから「俺、1型糖尿病やねん」って言ったら「あーそーなん?」って自然体で(笑)。

 子供たちは、病気とは分かっていると思うんですが、まだ小さいんでね。食事前にいつも注射しているのを見て、「それ何してんの?」「注射ー」「何でー?」「これせなあかんねん」「そうなん?」...そんな感じ。こっちも自然体です(笑)

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