2015年03月30日 16:00 公開

リウマチ患者が人工関節置換術を決める前に

神戸大リウマチ教室

 変形性関節症や関節リウマチなどによって、膝や股関節がすり減って痛んでしまった場合、最も効果的に痛みを取る方法は、人工関節に置き換える手術である人工関節置換術だ。しかし、加齢が原因の変形性関節症とは異なり、関節リウマチ患者の場合には、特有のリスクと利点が考えられる。3月19日に神戸大学整形外科で開催されたリウマチ患者教室で、同科の三浦靖史准教授が解説した。

リウマチ患者が人工関節置換術を受ける場合のデメリット

 関節リウマチ患者が人工関節置換術を受ける場合、さまざまなデメリットが伴う。関節リウマチ患者は骨粗鬆症にもかかっていることが多く、人工関節を固定して支える周りの骨も弱くなっているため「骨折しやすい」、免疫力を抑える治療を受けているため「感染症を起こしやすい」、血行不良やステロイド薬の治療によって皮膚が薄くなるために「手術で切ったところがくっつくのに時間がかかる」、全身のさまざまな関節の手術を必要とするために「手術に伴うリスクが高い」、若いうちに手術を受けるため、年を重ねた後に「再手術が必要になる」、脚の手術後に松葉づえが使えないなど「回復までの間、他の部位で負荷をカバーできない」、貧血を合併する人も多いため「輸血が必要なリスクがある」、筋力が低下しているため「リハビリに時間がかかる」などだ。

薬物療法の向上で手術のメリットは拡大

 一方,関節リウマチ患者に有利な点もあると三浦准教授は言う。「関節リウマチ患者は、無理をしてはいけないことをよく理解しています。運動量が少ないため、人工関節が摩耗しにくく長持ちするのです。また、手術を受ける年齢が比較的若いので回復が早い傾向があります。何より、薬による治療の効果が飛躍的に向上して関節リウマチによる関節破壊を完全に抑えることが可能になっていますから、手術を組み合わせることで痛みを減らし、動きやすい快適な生活を目指せるようになっているのです」

リウマチ患者に多い外反母趾には人工指趾関節置換術

 外反母趾(ぼし)とは、足の親指が小指側に曲がってしまう状態で、特に関節リウマチ患者に多い。歩くと痛み、ひどくなると足の親指と小指が内側に曲がって足先が三角型に変形してしまう。

 外反母趾も人工指趾関節手術で改善できるが、見た目の改善を目的に手術を考えるのは禁物だと三浦准教授は警告する。「目的は痛みなく歩けるようになること。見た目を良くしたいだけで手術をして、かえって歩きづらくなったら元も子もありません。足の痛みが気になる人は、手術を受けたらどのように改善するかなど、主治医と十分に相談してください」

 入院期間は、手術を受ける関節部位や病気の状態、施設によって異なるが、最短で7~10日、リハビリを要する場合は1カ月程度だという。三浦准教授は「手術には数多くのメリットがあるものの、一定のリスクを伴うのも事実。主治医から詳しい話を聞き、術後のサポートについても家族と十分に相談した上で、手術を受けるかどうか、いつ受けるのかを決めてください」とアドバイスした。

(長谷川 愛子)

神戸大学整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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