2015年03月31日 06:00 公開

双極性障害ってどんな病気?

毎年3月30日は「世界双極性障害デー」

 双極性障害とは、どんな病気なのだろうか―。かつて「躁(そう)うつ病」とも呼ばれた精神疾患の一つで、躁状態とうつ状態を繰り返すことが特徴。薬による治療や精神的な治療などで多くの患者は症状をコントロールできているものの、理解が不十分なために再発を繰り返すケースもあるという。また、周囲の誤解や偏見が患者の社会参加への機会を奪うことも少なくないようだ。この病気の理解を深めてもらうため、毎年3月30日が「世界双極性障害デー」と定められている。今年から、わが国でも日本うつ病学会が活動に乗り出した。

見過ごしや誤解にもつながる特有の症状

 「単極性うつ病」ともいわれるうつ病については、認知度も高まり、理解も進んでいる。典型的な症状は、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失、食欲の低下といったうつ状態に陥ることが知られている。一方、双極性障害では、うつ状態に加え、気分の高揚や興奮といった躁状態が交互または同時に起こる。

 躁状態になると、寝不足でも日中元気に過ごせたり、良いアイデアが次々と出てきたり、いつもよりおしゃべりになったり、落ち着きがなくイライラしたりする。細かくいうと、躁状態が強ければⅠ型双極性障害、軽ければ(軽躁状態)Ⅱ型双極性障害に分類される。

 こうした特有の症状により、双極性障害は見過ごされたり、誤解されたりするケースも多い。躁状態では患者も周囲も少しテンションが高いくらいに捉えて医療機関を受診しないことや、うつ状態で受診するとうつ病と診断されることもあるからだ。また、うつ病と診断された後に躁状態を発症する場合もあるという。

うつ病との見極めに役立つ検査も

 双極性障害を発症するのは平均30歳前後が多いとされるが、中学生から高齢者まで幅広い。脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)が異常に増えたり、減ったりしてバランスが崩れることは分かっているものの、原因は解明されていない。遺伝や環境、性格などが関係していると考えられている。

 診断は問診によって行われる。だが、うつ病か双極性障害かでは治療の目標や方法が違うため、近年は「光トポグラフィー」という診断補助検査を実施する医療機関もある。これは、脳の血流量の変化を調べて、うつ病か双極性障害か、あるいは統合失調症かを見極めるために行われ、一部の施設では健康保険が適用される(ただし、同検査のみで診断されるものではない)。

 主な治療は飲み薬だ。基本になるのは気分安定薬で、躁状態なら抗精神病薬、うつ状態なら抗精神病薬や抗うつ薬が加わる。ただし、抗うつ薬は躁状態になってしまう恐れがあるため、服用することは推奨されていない。また、不眠症状があれば一時的に睡眠薬なども処方される。

 この他、対人関係・社会リズム療法(IPSRT)という精神療法も平行して行うと、より効果的といわれている。また。より重いうつ状態のときには、頭に電気を通す電気痙攣(けいれん)療法(ECT)も行われる。

自己判断で薬をやめてしまうと再発の恐れ

 躁状態やうつ状態は、治療を受けないと数カ月から半年以上も続くことがまれではない。また、最初の発症から5年ほど経過して再発することが多いが、放置しておくとその間隔が徐々に短くなり、年に4回以上も繰り返すケースもあるという。また、自己判断で薬をやめてしまうと、再発の恐れもあるようだ。

 もし、家族など周囲に双極性障害の患者がいる場合は、どうしたらよいのだろうか。日本うつ病学会双極性障害委員会の加藤忠史委員長(理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チーム)は「うつ状態であれば、心と体を休ませてあげることが大切なので、『頑張って』と過度に励ましたり、気晴らしを勧めたりすることは控えた方がよいでしょう。一方、躁状態では人が変わったように攻撃してくる場合もありますが、病気が言わせているのだと考えて、早めに受診させてください。本人の同意を得られないときは、まずは家族だけでケースワーカーに相談するのもよいでしょう」と助言している。

 同学会では、双極性障害について詳しく解説した冊子を無料で公開している。専門医の見つけ方や、薬の効果と副作用、患者とその家族それぞれに向けた具体的な対応方法なども盛り込んでいる。今後、市民公開イベントや同学会の公式サイトなどを通じて、双極性障害に関する情報を発信していくという。

(松浦 庸夫)

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