2015年04月28日 06:00 公開

おしっこの臭いで膀胱がんが分かる? マウスが嗅ぎ分け

新たな診断法の開発に期待―藍野大

 がん患者の尿や息などは特有の臭いを発しているとされ、犬やハエ、線虫などがその臭いを嗅ぎ分けるという"臭診"が注目されている。こうした中、藍野大学(大阪府茨木市)医療保健学部の水谷陽一教授(臨床工学)らは、膀胱(ぼうこう)がん患者の尿に特有の臭いがあってマウスが嗅ぎ分けることを確認し、4月18~21日に金沢市で開かれた日本泌尿器科学会の会合で報告した。検尿や画像検査など、膀胱がんを外部から診断する検査は精度の低さが問題だったが、この発見によって痛みのない新しい診断法の開発などが期待されるという。

がん細胞は特有の臭いを発している?

 検尿や画像診断での精度が低いため、血尿が出た場合などは尿道に内視鏡を入れる膀胱鏡検査が必要となる。しかし、痛みを伴うほか、尿道を傷つけてしまうことがあるため、膀胱鏡検査の回数を減らすためにも、痛みのない精度の高い検査の開発が求められていた。

 一方、がん細胞が特有の臭いを発していることがさまざまな研究から報告されており、それが息やおなら、尿、体などに表れることが指摘されている。日本医科大学が発表したがん探知犬は、がんの種類まで嗅ぎ分けることができるという。

 水谷教授らは今回、こうした過去の研究結果に着目。健康な男性6人の6日間の尿と、膀胱がん患者5人の手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)前後の尿を取り、マウスに嗅ぎ分けさせる実験を行った。なお、膀胱がんのステージはTaが4人、T1が1人、グレード別では低グレードが2人、高グレードが3人だった。

1兆倍に薄めても嗅ぎ分け可能

 実験では、手術前の膀胱がん患者から取った尿がある方に進むと水が飲めるY字の迷路を作り、正解側はランダムに設定。あらかじめ特定の臭い側に行くと水が飲めることを学習させたマウスを喉が渇いた状態にし、識別させた。

 比較的臭いの差がある2つの尿で訓練した1次トレーニング、臭いが似ている2つの尿を使った2次トレーニングを終えたマウスを使って実験を開始した。その結果、健康な人の尿に関しては10倍に薄めたところまで臭いの識別が可能だったのに対し、手術前の膀胱がん患者の尿は1兆倍に薄めても手術後の尿との識別ができたという。

 今回の結果について、水谷教授は「マウスは、尿に含まれた膀胱がん特有の尿の臭いを嗅ぎ分けている可能性が高い。この尿臭の元が分かれば、膀胱がんに特徴的な物質が分かり、痛みを伴わない精度の高い診断法の開発につながることが期待される」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)

更新履歴:
4月28日 マウスに嗅ぎ分けさせた尿の濃度が間違っておりました。お詫びして訂正致します。

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