2015年06月02日 06:00 公開

服薬支援ツールを2日で集中開発!「ヘルスケアハッカソン」

第7回を東京・日本橋で開催

 新しい医療の在り方を模索する「ヘルスケアハッカソン」の第7回が5月16~17日、東京・日本橋で開催された。テーマは「服薬アドヒアランス」。患者が治療へ積極的に関わり、定められた通りにきちんと薬を服用することだが、その向上に多くの医療関係者らが苦心している。今回は医療関係者に加え、エンジニア、ビジネスマン、行政関係者らさまざまなジャンルから約30人が集まり、服薬アドヒアランス向上のためのアプリやサービスなどの開発に取り組んだ。優秀賞には、慢性疾患を抱える子供向けの服薬支援ツール「ごっくんBuddy」が選ばれている。

ハッカソンとは?

 ハッカソン(hackathon)とは「ハック」と「マラソン」をつなげた造語で、エンジニアらが一つのテーマで集い、1日~1週間程度かけてマラソンのようにアイデア出しから商品開発(試作品開発)までを集中的に行うもの。もともとIT関連で始まったものだが、バラエティーに富む優れたアイデアが出されるために、IT業界に限らず、さまざまな領域で開催されるようになった。

 ヘルスケアハッカソンは主宰の古川由己氏が発案したもので、2014年8月に第1回を開催して以来、地方や都心で回数を重ねてきた。他のヘルスケア関連のワークショップなどに比べ、医療者の参加者が多く、バランスが良いのが特徴だ。

 今回は、ハッカソンを始める前に、実際に長期で服薬している慢性疾患患者、介護や高齢者医療の現場で活躍する薬剤師から、話題提供が行われた。参加者は3~6人の6チームに分かれ、それぞれ話題提供から受けたヒントをもとにさまざまな服薬支援ツールの開発アイデアの構築に取り組んだ。

優秀賞に輝いたサービスの内容は?

 他のハッカソンでは、集中的にプログラミングなどの作業を行ってアプリなどのソフトを制作することもあるが、ヘルスケアハッカソンでは試作品の発表までを行う。2日目の半ばには、ベンチャー企業への投資・育成などを手がけるミレニアムパートナーズの秦充洋氏と、三井住友フィナンシャルグループのシンクタンクである日本総合研究所の東博暢氏の2人を審査員に招き、試作品の発表会が開かれた。

 発表されたのは、高齢者向け服薬支援アイテム「ふくたん」、子供向けサービス「ごっくんBuddy」、ノウハウ集積サービス「おくすりレシピ」、高齢者向け総合サービス「薬楽」、服薬仲間を探すウェブサービス「Nonder(ノンダー)」、2型糖尿病患者向けサービス「flixy+α」で、いずれも審査員から「秀逸なアイデアで拡張性もある」と高い評価を受けた。東氏は「ヘルスケアの課題は、アプリなどのソフトだけでは解決できないことが多い。電話サービスやアイテムなどリアルな『モノ』を使ったアイデアが多く、可能性を感じた」とコメントしている。

 そんな中で優秀賞に輝いたのは「ごっくんBuddy」だった。これは、同じ病気で同じ薬を飲む"仲間"のキャラクターを、スマートフォンアプリ上や現実のぬいぐるみなどで提供するサービスで、病気の子供がそのキャラクターに薬を飲ませてあげ、キャラクターとのコミュニケーションを通して自分も服薬し、一緒に治していくというもの。「服薬に付加価値を付ける工夫が素晴らしい。購入者の気持ちや、ビジネス展開などもよく考えられており、最も実現性が高かった」と秦氏。東氏も「子供が本当に食いつくのかを検証し、ぜひ製品化を目指してほしい」と激賞した。

 「ごっくんBuddy」のチームでリーダーを務めた女性は「話題提供で、同じ病気の兄弟と声をかけ合って服薬しているという話を聞いて、"仲間がいれば"と思いついた。服薬の課題をうまく捉えられたことが評価につながったと思う」と話し、「ぜひまた、このチームで集まって製品化につなげたい」と抱負を語った。

今後もさらに続く医療ハック!

 主宰の古川氏によると、ヘルスケアハッカソンでは、イベントで誕生したアイデアをビジネスに成長させていく支援も積極的に行っていきたいという。また、今後は日本橋で定期的に開催し、医療者と外部の交流をさらに広げたいとしている。

(文・写真/土屋季之)

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