2015年06月26日 06:00 公開

認知障害ある人の運転、高齢男性ドライバーの6割に

国立長寿医療研究センター調べ

 超高齢化は社会にさまざまな影響をもたらしているが、交通社会もその一つだろう。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の島田裕之部長(予防老年学研究部)らは、6月12~14日に横浜市で開かれた日本老年医学会の会合で、65歳以上の男性ドライバーでは6割以上が中等度の認知障害を抱えていることが分かったと報告した。ただ、認知障害があることが即、交通事故につながるかは不明で、島田部長らは認知機能の低下した高齢者と交通事故の関係を検討する調査の必要性を強調している。

高齢者1万人を調査

 警察庁によると、2014年の全国の交通事故件数は57万3,842件で前年比8.8%減、ピークだった2004年(95万2,709件)から毎年減っている。一方で、事故件数全体のうち65歳以上の高齢ドライバーが起こす割合は増え続けており、2014年は18.7%。2004年の10.5%から8.2ポイントも増加している。

 その原因として、社会全体が高齢化していることはもちろんのこと、高齢化による認知機能の低下の影響が指摘されている。また、地方などでは公共交通の廃止が相次ぎ、移動手段が自家用車に限られてきていることも要因の一つだろう。

 島田部長らは今回、65歳以上の高齢者約1万人(平均年齢73.2歳)を対象に、運転や認知機能などについての調査を実施。認知機能については質問式のテスト(MMSE)を行い、30点満点中21~26点だった人を軽度認知障害(MCI)、10~20点だった人を中等度認知障害と分類した。なお、脳卒中、認知症、パーキンソン病、うつ病にかかったことがある人は除外している。

85歳以上男性の45%が運転

 その結果、男女とも年齢が高くなるに従って運転する割合は減っていったが、女性と比べて男性は運転する割合が高く、85歳以上でも45%が運転していた(女性は7%)。

 認知機能で見ると、MMSEの得点が低いほど運転する割合が減っていった。しかし、MMSEが10~20点の中等度認知障害を抱えている運転者は、女性で16%、男性では61%に上っていたという。

 島田部長らは「MMSEで中等度の認知障害が疑われる高齢者でも、運転している実態が明らかになった。今後、さらに調査を行い、認知機能が低下した高齢者が事故を起こす可能性が高いのかどうかを調べていく必要がある」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)