2015年07月23日 06:00 公開

企業も料理家も共鳴する「緩やかな糖質制限食」

「ロカボグルメフェスティバル」開催

 一般社団法人「食・楽・健康協会」は7月17~18日、東京都内で、食事の後に血糖値が高まる食後高血糖の危険性や血糖値を測定することの意義を啓発し、糖質制限食を推進する運動の一環として「ロカボグルメフェスティバル」を開催した。初日に行われたメディア向けセミナーで同協会の山田悟理事長(北里研究所病院糖尿病センター長)は、ここ10年で栄養学の常識が180度変わったことを強調。同協会が提唱する緩やかな糖質制限食(ロカボ食)は、食後高血糖などから脳卒中や心不全などにつながるメタボリック症候群の悪い流れ(メタボリックドミノ)を根こそぎ改善できる健康食で、ロカボ食を普及させることで消費者、企業、社会全体に恩恵をもたらす"三方良し"の社会を実現できると熱弁した。同イベントでは、山田理事長の呼びかけに共鳴する著名な料理人や食品関連企業の積極的な参画が見られた。

心ゆくまで食べられるロカボ食

 同協会は、山田理事長が2013年11月14日(世界糖尿病デー)に設立した一般社団法人。糖質(炭水化物から食物繊維を引いたもの)を1食20~40グラム程度に抑えた緩やかな糖質制限食をロカボ食として提唱しており、その普及を目的に、(1)料理人、食関係企業を対象としたセミナーの開催や料理・商品開発のサポート、(2)社会に対する食後高血糖の注意喚起、(3)血糖測定の実体験イベント―などを行っている。

 今回のイベントは、そうした活動の一環として「ロカボライフをおいしく楽しもう」を合い言葉に開催された。なお、ロカボ食の大きな特徴は、糖質以外の栄養素は制限しないこと、つまり脂質も蛋白質も心ゆくまで食べることにあり、それ故にこその「おいしく楽しもう」となっている。

 山田理事長らがロカボ食を社会に広めようとする背景には、最近10年での栄養学の激変がある。メディア向けセミナーでは、2008年以降のエビデンス(根拠となる研究結果)を以下のように解説した。

  • 緩やかな糖質制限食は、食後高血糖の是正に顕著な効果を発揮するほか、肥満や脂質の改善にもカロリー制限食を上回る有効性が示されており、心血管病の予防効果が期待できる
  • 腎機能の悪化など安全面の懸念も払拭されている
  • 糖質制限食に対する評価が180度変わったことは米国糖尿病学会(ADA)の指針に端的に示されており、2006年には「糖尿病患者には勧められない」としていたものが、2013年以降は「第一選択肢の一つ」に位置付けられている

カロリー制限食は効果ないだけでなく"副作用"も

 一方、カロリー制限食は肥満の是正には有効なものの、血糖値の改善には無効で、最近の研究では死亡や冠動脈の病気による死亡に全く影響を与えないばかりか、骨密度の低下など安全面の懸念が示されている。

 脂質の種類が問題とされることもあるが、日本人では動物性脂肪を取ることがむしろ脳卒中を抑えるとの研究結果が示されている。今年になって、日米で「コレステロール摂取制限を設けない」との国レベルの指針が示されたのは記憶に新しい。

 山田理事長は、ロカボ食について(1)消費者にとってはおいしいものを食べながら健康でいられる、(2)食関連企業にとっては新たなビジネスチャンスとなる、(3)社会全体にとっては医療費の削減につながる―ことから、これを普及させることで"三方良し" の社会を実現できると述べた。

一流料理人とのトークショーも

 山田理事長の呼びかけに共鳴する食品関連企業や料理人も増えているようだ。今回のイベントでは、麺、飲料、調味料などロカボ食品の開発などに取り組む11社がブースを出展した。

 また、日本を代表する料理人の辻口博啓氏(「モンサンクレール」オーナーパティシエ)、中尾崇宏氏(「ファロ資生堂」シェフ)、鎧塚俊彦氏(「Toshi Yoroizuka」オーナーパティシエ)と山田理事長とのトークショーが開かれたほか、これらの一流料理人が腕を振るったロカボメニュー(ケーキ、パン食など)を紹介するコーナー、簡易血糖値測定の体験コーナーが設けられた。

 なお、メディア向けセミナーでは、出席者の中から"被験者"を募り、食前、食後約30分、約1時間に簡易血糖値測定を実施。ロカボ食(低糖質ハンバーガー+低糖質チョコ+低糖質ブッセ)を食べた人と普通食(おにぎり2個+大福)を食べた人で、血糖値の変わり方を比べた。その結果、普通食では食前から食後約1時間にかけて血糖値が87mg/dL→176mg/dLと約2倍に上昇したのに対し、ロカボ食では95mg/dL→124mg/dLの小幅な上昇にとどまり、ロカボ食の有効性が示された。

(文・写真/平田直樹)

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