2015年08月12日 06:00 公開

手術中のBGMで安全性が低下? 手術時間が延長―英研究

チームのイライラも増加

 手術中に音楽(BGM)を流すことは、患者だけでなく手術スタッフにも良い影響を与えるとされている。しかし、BGMによって手術中の安全性が脅かされる恐れがあることを、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)のシャロン=マリー・ウェルドン看護師らが、8月4日発行の看護専門誌「Journal of Advanced Nursing」(電子版)に報告した。BGMが妨げになって依頼を繰り返すことが増え、手術時間が延長したほか、手術チームのイライラも増加していたという。

依頼の繰り返しが5倍に

 ウェルドン看護師らは、2012~13年に英国内の医療機関2カ所の手術室で行われた20件の手術の様子を録画。BGMがあった手術となかった手術でチームの会話などを分析した。なお、BGMがあったのは全体の70%に上った。

 分析の結果、手術を担当している外科医の依頼にスタッフが反応せず、依頼を繰り返す回数がBGMありの手術で5倍に増えていた。依頼の繰り返しは1回の手術につき4~68秒程度の手術時間の遅延を引き起こしていたほか、コミュニケーションがうまくいかないことで手術チームのイライラの増大にもつながっていたという。

ダンスミュージックを大音量で...

 手術中のBGMは約100年前から導入されており、当時は患者の不安や恐怖を和らげる効用が注目されていた。しかし、ウェルドン看護師らは「患者は手術室に入る前から鎮静薬や麻酔薬を投与されることもあり、今や手術中のBGMは手術チームのためのものになっている」と指摘している。

 共同研究者で同大学のテルヒ・コルキアカンガス博士(心理学)は「テレビや映画を通じて一般の人は、手術室のBGMというと静かな音楽と考えているだろう。しかし、今回の検討ではダンスミュージック、ドラムやベースの音が目立つ曲が、かなりの大音量で流れていた」と述べている。

 ウェルドン看護師らは、手術中のBGMでコミュニケーションの妨げられ、安全性が損なわれないために、世界保健機関(WHO)のチェックリストにBGMの流し方や音量に関する項目を入れるなどの対応も必要ではないかと提言している。

 一方で、手術中のBGMは、外科医が手術で切開した部分を縫合する速度や質を向上させるとの研究結果も、同時期に報告されている。内容については、次の記事を参照。

(あなたの健康百科編集部)

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