2015年10月07日 21:00 公開

働く女性は「三大不足」、少子化や医療費増大を招く恐れ

「まるのうち保健室」イベント

 働く女性が増える一方、その健康を守ったりケアしたりする体制は十分とは言えない。こうした中、働く女性の健康を応援するイベント「まるのうち保健室"私のからだと仲良くなる時間"」が9月12、13日に東京都内で開かれ、運動から食事までさまざまな提案がなされた。丸の内で働く女性を対象にした健康実態調査の結果報告からは、働く女性は栄養不足、睡眠不足、運動不足の「三大不足」であることが示されるなど、実態が浮き彫りとなった。監修を務める予防医療コンサルタントの細川モモ氏(「ラブテリ・トーキョー&ニューヨーク」主宰)は、働く女性の健康への配慮が欠けると、少子化の加速や医療費の増大を招くと指摘した。

働く女性1,000人のデータを分析

 「まるのうち保健室」は、女性がより充実した人生を「食」を通じて支援する三菱地所のプロジェクト「Will Conscious Marunouchi(ウィル・コンシャス・丸の内)」の取り組みの一つ。体組成計やヘモグロビン値測定器、骨密度測定器による検査と管理栄養士によるカウンセリングなどを行い、働く女性の健康の悩みに応えるとともに、その健康に関する実態を探ることを目的としている。毎月1回、丸の内の各所で開催しており、毎回約150人が参加し、2014年9月~15年3月に約1,000人分のデータが集まったという。

 今回のイベントは、「まるのうち保健室」で行っている健康相談や各種測定などとともに、スペシャルトークやセミナーも盛り込んだものだ。細川氏は「国は女性の活用を推進しようとするが、その健康に対する配慮に欠けており、実態も把握していない」と説明。9月12日のオープニングトークでは、細川氏、プロジェクトプロデューサーの井上友美氏(三菱地所)、聖路加メディローカス(東京・大手町)の女性診療科を担当する酒見智子医師が、調査結果の報告とともに、今後の展望について語った。

 「まるのうち保健室」でデータが集められた1,000人の平均年齢は34歳、丸の内を中心に全国からの集まっており、職種は77%が会社員・公務員などのオフィスワーカー、平均就業時間は週41~60時間が最も多かった。その1,000人分のデータを調べた結果、日本の就業女性は栄養不足、運動不足、睡眠不足の「三大不足」であることが分かったという。

「戦時中の疎開児童の平均摂取カロリーと同等」

 分析結果からは、働く女性の28%が痩せ型であることが示された。細川氏は「世界的に見ても異常な数値」と指摘。平均摂取カロリーは1,479キロカロリーで、「分かりやすく言えば、戦時中の疎開児童の平均摂取カロリーと同等で、成長障害を起こす可能性が高い」としている。

 また、タンパク質不足が89%と顕著で、ビタミンB群などの食べ物をエネルギーに変換する栄養素の不足もあるようだ。さらに、カロリーだけはあるが栄養素に欠けるデザートや酒類などの「エンプティカロリー」が、摂取カロリーの15%を占めているなどの問題もあるという。こうした栄養のアンバランスは、肩凝りや冷え性などの不定愁訴の遠因になっていることも指摘された。

 睡眠については、平均睡眠時間が7時間50分と、先進国の中で最も短いことが明らかになっているが、就業女性はそれをさらに下回る5~6時間だった。睡眠時間が短いとインスリン機能の低下をもたらす、脂肪が多い食事を好むようになるなど、太りやすくなる。

 細川氏は「見た目はスリムなのに、体脂肪率が30%を超えているような"隠れ肥満"の女性が多いのは、これが原因なのでは」と指摘。見た目は痩せていても、体脂肪率が高いと排卵に影響があり、「将来的には妊娠にも問題が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

社会全体で考えるべき

 こうした調査結果をもとに、今後どうすべきかという課題について、細川氏は「87%が適切な情報があれば改善したいと答えているが、痩せ型がいかに危険か、栄養がどれくらい重要かといった情報が全く知られていない」と話し、情報と知識の提供が重要と指摘した。

 また、「目いっぱい働いている女性に、今すぐ全てをやれというのは難しい。生活を少しずつ改善する"選択肢"の提供もできれば」と話す。"選択肢"とは、飲食店で健康に注意したメニューがあることや、おやつ代わりに食べられる栄養食品などを指すという。

 さらに、細川氏は「女性の社会的な活用を進めながらも健康への配慮が欠けると、妊娠できない女性が増えて少子化が加速したり、骨粗鬆(しょう)症の女性が増えたりして、将来的な医療費の増大も懸念される。今、社会全体で働く女性について考えるべき時期に来ているように思う」と述べた。

 「Will~」では、働く女性向けの飲食店ガイド「Will Conscious Marunouchi Eat Map」を発行。これは健康に配慮したメニューを提供するばかりでなく、日常の運動強度を上げるために10分ほどのウオーキングコースも盛り込まれている(公式サイトでも閲覧可)。また、今年も「まるのうち保健室」を10~12月に開催し、働く女性のサポートを行うという(申し込みなど詳細はコチラ)。

(文・写真/土屋季之)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)