2015年11月06日 06:00 公開

仕事のストレス多い女性は脳卒中になりやすい

日米欧などの6研究を分析

 ストレスはさまざまな病気を招くとされているが、このたび、仕事のストレスが多い女性では脳卒中になりやすいことが分かった。中国・南方医院のユイリ・ホワン氏らは、日本や欧米で行われた6件の研究結果(約14万人が対象)を分析した結果、仕事量が多いのに自分で判断できる裁量範囲が狭い「強いストレスを伴う仕事」に就いている人では、脳卒中になる危険性が高かったと、10月14日発行の米国神経学会誌「Neurology」(電子版)に報告した。こうした関連は女性のみで見られ、男性では認められなかったという。

ウエートレスは"ストレス多い仕事"

 仕事のストレスは心臓病や動脈硬化などの危険性を高めると報告されているが、脳卒中については研究結果が一貫していない。そこでホワン氏らは、2011年の日本からの報告を含む欧米などで行われた6件の研究(対象=計13万8,782人,年齢18~75歳)を分析。ストレスの度合いは、仕事の量や質を測る「要求度」、裁量権や決定権を測る「裁量度」から、以下の4つに分類した。

  • 低負荷の仕事・・・・・・要求度が低く裁量度が高い
  • 受動的な仕事・・・・・・要求度も裁量度も低い
  • 能動的な仕事・・・・・・要求度も裁量度も高い
  • 高負荷の仕事・・・・・・要求度が高く裁量度が低い

 なおホワン氏らは、科学者や建築家の仕事は「低負荷」,用務員や鉱山労働者などの肉体労働は「受動的」,医師や教師,技術者の仕事は「能動的」,ウエートレスなどのサービス業は「高負荷」と説明している。

脳梗塞は1.6倍

 分析の結果,サービス業など「高負荷の仕事」に従事する人では、「低負荷の仕事」に従事する人に比べて脳卒中になる危険性が1.22倍高かった。脳梗塞などの虚血性脳卒中(血管が詰まる脳卒中)に限定すると,危険性は1.58倍に上昇した。一方で、「受動的な仕事」「能動的な仕事」の従事者では、統計学的なリスク上昇は認められなかった。

 また男女別に見ると、「高負荷の仕事」の女性で1.33倍だったのに対し,男性では統計学的なリスク上昇は認められなかったという。

 この分析に対する論評(「Neurology」電子版)を執筆した、米ユタ大学医学大学院のジェニファー・J・マジェルシク准教授(神経学)は「私は脳卒中センターの神経科医だが,脳卒中患者やそのパートナーから"原因はストレスだったのか"と聞かれることは多い。これまで,その質問に対してどのように回答すればいいのか分からなかったが、今回の報告はこの重要な問題に光を当てた」と述べた。

 また,今回の結果を踏まえ、仕事の裁量度を高めるような試みをしてみる価値があるではないかと提案。その具体策として,在宅勤務の促進などフレキシブルに仕事ができる環境の整備のほか,職場の意思決定を中央集権から分権に変えることなどを挙げ、「こうした対策が効果を発揮すれば,公衆衛生的にも大きな影響があるかもしれない」としている。

(あなたの健康百科編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)

ファーマトリビューン(PharmaTribune)