2015年11月27日 06:00 公開

夜トイレが近い人、原因は塩分取り過ぎかも―長崎大研究

摂取量増えると排尿回数・量も増加

 おしっこをしたくなって夜中に起きてしまう―。寝不足にもつながるそんな症状に悩まされている人は少なくない。こうした夜間頻尿の原因の一つに塩分の取り過ぎがあることが、長崎大学病院泌尿器科・腎移植外科の松尾朋博助教らの研究によって指摘された。塩分の摂取量が増えると、特に夜間の排尿回数・量も増えたという。この結果は、9月9~11日に札幌市で開かれた日本排尿機能学会の会合でも報告され、同学会学会賞(臨床部門)を受賞した(関連記事:高齢者の夜間頻尿、多くは「水分取り過ぎ」が原因)。

夜間頻尿とは?

 夜間頻尿は夜、おしっこのために1回以上起きてしまう症状のことで、日本泌尿器学会によると約4,500万人が悩まされているという。年齢を重ねるごとに頻度が多くなるとされ、症状は、1回の排尿量は正常なものの夜間に1日総尿量の3分の1を占める「夜間多尿」、おしっこをためておく膀胱(ぼうこう)の容量が少なくなる「膀胱容量減少」、目が覚めるたびに気になってトイレへ行く「睡眠障害」の3タイプがある。

 原因は糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、腎臓の機能障害、睡眠時無呼吸症候群、過活動膀胱、膀胱炎、前立腺炎、前立腺肥大、眠りが浅いなどさまざまで、原因が不明のことも少なくない。

 自分で気づくためには、「排尿日誌」を付けることが勧められている。朝起きてから翌朝までに排尿した時刻と量を記録するというもので、量は目盛り付きのコップなどで測るという。これによって3タイプのうちどれに該当するのかが分かり、適切な治療を受けられるようになるという。

高血圧や腎機能障害と並ぶほどの強い関連

 松尾助教らは今回、長崎大病院などで経過観察中の患者728人(男性229人、平均年齢62.6歳)を対象に、塩分摂取量の中央値9.21グラムを基準に、それより多い人たち(高塩分グループ、平均11.4グラム)と低い人たち(低塩分グループ、平均7.3グラム)の2つに分け、夜間頻尿との関係を調べた。なお「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日の塩分摂取量として男性8グラム、女性7グラムが目安とされている。

 調査の結果、高塩分グループで排尿回数と量が昼夜を問わずに多く、1日の総尿量に占める夜間尿量の割合も高かった。これは自覚症状でも同じだったようだ。さらに、昼間より夜間の排尿回数で塩分摂取量と関連しており、排尿量は昼間、夜間ともに関連していた。一方で、他の排尿症状に関しては差がなかったという。

 松尾助教らがこの結果を分析したところ、塩分の取り過ぎは性別、腎機能障害、高血圧と並ぶほど夜間頻尿と関連があることが分かったという。

多くの医師から「納得」の声

 これらの結果から、松尾助教は「塩分の取り過ぎは夜間頻尿の要因の一つと考えられる」と結論。塩分摂取量を抑えることが、頻尿や多尿の治療や予防、さらに薬が効きづらい夜間頻尿の症状改善に結び付くのではないかとした。

 その仕組みについては「塩分の取り過ぎによって水の飲み過ぎたことなどが夜間頻尿を招いた可能性はある」とした上で、「高血圧などは、夜間頻尿や過活動膀胱などの要因とされている。高血圧と強く関連している塩分の取り過ぎも、夜間頻尿などの間接的・直接的な要因になるのではないか」と推測している。ちなみに、高塩分グループは低塩分グループよりもBMI(肥満指数)が高い人や高血圧患者が多かったという。

 弊社の医師向け情報サイト「Medical Tribune」には、この研究結果について医師会員から以下のようなコメントが寄せられている。

  • 「なんとなく理解できます。やはり塩分摂取はよくないですね」
  • 「なんだか意外な気がしましたが、確かに、理屈には合いますね」
  • 「そりゃ循環血漿量が増えて、RFが増えて、おしっこがたくさん出る。当たり前といえば当たり前ですが、あらためて言われると納得です」
  • 「食塩過剰摂取→浸透圧保持・希釈のための飲水過多→体液貯留→塩分排泄・尿量増加というのは生体の合目的的であるといえるでしょう」
  • 「食塩の過剰摂取は、いろいろな問題があると改めて実感しました。自分でも気をつけなければと思います」
  • 「減塩は必要、塩辛い物食べた翌日は眼圧も上がってたことあります」
  • 「若い人で減塩を啓蒙していくのが大事です。高齢者では今さら食習慣を変えにくいから、利尿薬を適切に使うしかないでしょう」
  • 「夜間頻尿に対して利尿薬を使うというパラドキシカルな治療法も成り立つかも知れませんね」

(あなたの健康百科編集部)

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