2015年12月22日 06:00 公開

ネコもアルツハイマー病になる可能性―東京大など調査

脳にイヌなどでは見られない変化

 認知症の半数を占めるといわれるアルツハイマー病。日本では推定100万人余りがかかっているとされるが、有力な治療法はまだ開発されていない。これまで人間特有の病気と考えられてきたが、東京大学大学院農学生命科学研究科のチェンバーズ・ジェームズ助教ら研究グループは、ネコでもアルツハイマー病になる可能性があることを、国際的な神経病理学誌「Acta Neuropathologica Communications」(電子版)に報告した。年老いた家ネコの脳では、イヌなど他の動物では見られない、人間のアルツハイマー病患者で見られるものと同じ変化が起きていたという。

アルツハイマー病とは?

 アルツハイマー病は、記憶や見当識(現在の日時や場所など基本的な状況の理解)、注意力といった認知機能の障害に加え、人格の変化を主な症状とする病気。脳血管性認知症やレビー小体型認知症を抑え、最も多い認知症だ。

 症状は徐々に進行し、記憶障害や遂行機能障害(夕食の準備など、順序立てて行う行動ができない)、妄想や幻視、暴言・暴力、徘徊などを経て、最終的には意思疎通も困難になって寝たきりとなる。

 日本の患者数は65歳以上の15%を占めているにもかかわらず、予防法や根本的な治療法はなく、認知機能の低下に対する薬による治療などの対症療法が中心だ。

14歳頃から人間と同じ変化

 CTやMRIなどでアルツハイマー病患者の脳を見てみると、精神機能に関わる「大脳皮質連合野」、記憶をつかさどる「海馬」を中心に、神経細胞の脱落、老人斑(神経細胞外に蓄積したアミロイドβタンパク)、神経原線維変化(神経細胞内に蓄積した高リン酸化タウタンパク)が確認できるという。

 ジェームズ助教らは今回、ペットとして飼育されていたネコ25匹(生後50日~22歳)を死後に解剖し、脳の組織を詳しく解析した。

 その結果、8歳(人間だと40歳代後半~50歳代)を超えた猫の脳にはアミロイドβタンパクの沈着が認められ、14歳頃(同70歳前半~80歳代)からは高リン酸化タウタンパクの蓄積が起きていることが判明。高リン酸化タウタンパク質がたまっているが脳では、人間のアルツハイマー病に特有の神経原線維変化が認められ、この病変があるネコでは海馬の神経細胞が脱落することも分かった。

 イヌなど他の動物でもアミロイドβタンパクがたまることがあるものの、タンパク質の形まで人間と同じなのはネコだけ。さらに、高リン酸化タウタンパクの蓄積は、他の動物では認められなかったとしている。なお、こうした病態はヤマネコやチーターなどのネコ科動物に共通しているという。

 今回の研究が進展することで、ネコにおけるアルツハイマー病類似の病態が解明されることが期待できる。それは、ネコにとってはもちろん、人間にとっても画期的なアルツハイマー病治療薬が登場する可能性を秘めているだろう。

(あなたの健康百科編集部)

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